物価高 足引っ張る恐れ

 日銀松江支店が公表した5月の島根、鳥取山陰両県の金融経済動向によると、総合的な景気判断を「持ち直しの動きが見られる」として、前月までの「持ち直しの動きが一服している」から半年ぶりに上方修正した。
 新型コロナによる行動規制が緩和され、主要観光地に客足が戻るなど消費が回復してきたのが寄与した。ただ、景気全体としてコロナ前の水準には戻っていない。
 その一方で4月の消費者物価(生鮮食品を除く)は、前年同月比で松江市は1・6%。鳥取は2・1%それぞれ上昇し、消費税増税の影響を除けば、2008年以来14年ぶりの上昇幅となった。
 エネルギーや小麦などの価格高騰を起点とする電気代や食品など身近な値上げは広がっており、物価高による消費抑制がコロナ後の景気回復の足を引っ張る恐れも出てきた 
 景気判断のうち個人消費は、百貨店の売り上げが持ち直しつつあるほか、スーパーなど量販店の売り上げが堅調で、主要観光地の宿泊客や空港利用者数も増えるなど上方修正した。
 生産は、新型コロナ感染拡大を防ぐための上海の都市封鎖で物流が停滞し、電気機械や一般機械で半導体を中心とする供給制約が続いているあおりで判断を引き下げた。公共事業や設備投資、住宅投資などは前月の判断を据え置いた。
 今後の見通しについて同支店は「コロナ禍や物価上昇など複合的な要因が絡み合うが、基調としては持ち直しの動きが続くのでは」とみている。