県内企業67% 後継者不在/過去10年で最低/帝国データ
2024年12月31日
県内の事業所のうち後継者がいなかったり決まっていなかったりする事業所は、全体の3分の2に上る一方、過去10年間では最低だったことが、民間信用調査会社、帝国データバンク松江支店の調査で分かった。県内事業所の後継者不在率は、全国3位と高水準の状態が続いているが、事業承継税制の改正や行政や金融機関などによる官民の対策で一定の歯止め効果が出ている、とみられる。
調査は、県内に本社を置き、同支店がデータを保有している事業所1114社を対象に2022年10月から今年10月にかけての事業承継状況について分析した。
それによると、後継者不在(未定を含む)事業所は、741社と全体の67%で、前年調査に比べ3ポイント低下。調査を始めた2014年の73%以降最低となった。ただ、同社がデータを保有している全国企業の後継者不在率52%と比べると、15ポイント上回り、都道府県別順位で秋田、鳥取県に次いで3番目の高さだった。
業種別では、建設業が199社と同業者の7割以上を占め、次いで小売業、サービス業各69%、卸売業66%、製造業、運輸・通信業各61%など。前年調査と比べると、8業種のうち小売業を除く7業種で不在率が低下した。
一方、後継者がいる事業所は全体の34%。事業所数では製造業82社が最も多く、次いで建設業80社、卸売業65社、小売業53社、サービス業47社などの順。
後継者では、経営者の子どもが52%を占め、非親族は28%、親族19%の割合。経営者の妻など配偶者は1%足らずだった。
経営者の高齢化が進む県内の事業所では後継ぎがいないため、廃業する事業所が増えており、行政や金融機関も相談窓口となる事業承継支援センターを設置したり、M&A(企業の合併・買収)や第三者から後継者を募るなどしたりするなど対策を強化している。