政府系金融機関の日本政策金融公庫松江支店(松江市殿町)が発表した山陰両県の今年4~6月期の中小企業動向調査によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、マイナス5・8と2022年1~3月期以来9四半期ぶりにマイナスとなり、景気回復が一服状態に入ったことをうかがわせた。この結果、同支店は景気判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」として、1~3月期の「持ち直しの動きがみられる」から下方修正した。
 業況判断DIの業種別では、製造業マイナス11・2、非製造業マイナス1と、ともにマイナス圏に沈んだ。コロナ禍から回復していた非製造業は、22年10~12月期以来6四半期ぶりにマイナスに転じた。
 製造業では、鉄鋼の落ち込み幅が大きく、ダイハツの不正認証問題による生産・出荷の停止などで自動車関連需要が減少した影響を受けた。非製造業では、宿泊・飲食サービス業が低下した。
 売上判断DIは、全業種で前期のプラス20・8からマイナス15・8に落ち込み、純益率判断DIもプラス9・3から0・3に低下。売上が大幅に落ち込むとともに、利益も減少している。
 原材料費高騰分などの価格転嫁の動向を示す販売価格DIは、前期のプラス57から49・2に落ちこんだが、仕入れ価格DIも77・8から67・4に低下。これについて同支店は「価格転嫁はある程度進んでいる」とみている。
 先行き7~9月期の業況判断DIはマイナス7とさらに悪化を予測しているが、10~12月期にはプラス1・8に改善を見込んでいる。 
 経営上の問題としては「売り上げ・受注の減少」が全体の40・7%を占めて最も多く、次いで「求人難」22%、「原材料高」16・9%など。前期と比べると「売り上げ・受注の減少」が5・5ポイント増え、景気回復の勢いが弱くなっていることを裏付けている。
 調査は、山陰両県の同支店の取引先企業129社を対象に今年6月中旬に実施、このうち54%に当たる69社から回答を得た。業況判断DIは、景気を「良い」と答えた企業割合から「悪い」と回答した企業割合を差し引いた数値。