過去最高の時給引き上げを決めた島根地方最低賃金審議会専門部会=16日、松江市向島町の島根労働局 島根地方最低賃金審議会(会長・藤本晴久島根大准教授)が16日、松江市内で開かれ、本年度の県内の最低賃金を1時間当たり58円引き上げ、時給962円とするよう厚生労働省島根労働局(岩見浩史局長)に答申した。過去最高の引き上げ額となり、中央最低賃金審議会が示した本年度の目安額時給50円アップを8円上回る。8月16日から9月2日までの異議申し立て期間を経て、早ければ10月12日から適用される。
 5回目となったこの日の審議会では、労働者側委員が時給68円、使用者側委員が同52円の引き上げを提示。双方に隔たりがあったため、公益側委員が58円を提示し、出席委員で採決の結果、賛成8人、反対4人で決着した。使用者側委員4人はいずれも反対した。
 労使の交渉では、食品を中心とする物価高で勤労者の生計は苦しくなっていると主張する労働側に対し、使用者側は、原材料費の高騰を思うように価格転嫁できず苦しくなっている中小企業の経営の実情を訴えた。双方の主張を踏まえ、公益側委員が58円を提示、公益側と労働側は全員が賛成、使用者側は全員反対した。
 今回の答申額58円は、これまでに答申があった全国の都道府県でトップクラスの引き上げ額となったが、引き上げ後の時給は、本年度答申前の全国平均1004円を下回る。本年度50円引き上げ、時給1163円となった東京都とは200円以上の開きがあり、以前より縮まったものの、全国との格差は解消されていない。
 今回の審議会では、金額を巡って労使が真っ二つに割れたことから、異議申し立て期間中に使用者側がどう対応するかが、焦点となる。 
 最賃は、パート従業員を含め、すべての労働者に適用され、下回ると使用者に罰金が課せられる。

<写真:過去最高の時給引き上げを決めた島根地方最低賃金審議会専門部会=16日、松江市向島町の島根労働局>