普通預金金利上げ/超低金利時代、転換点に/合銀・島銀
2024年08月09日
山陰合同銀行と島根銀行(本店はともに松江市)は、普通預金金利を0・02%から0・1%に引き上げ、9月2日から適用する、と発表した。島根銀では、スマホを通じて口座開設できる「しまホ!」の普通預金金利もこれまでの0・25%を8月9日から0・35%に引き上げる。
日銀の政策金利引き上げに伴うもので、両行とも普通預金に続き、定期預金金利、貸出金利の引き上げも検討している。代表的な貸出金利である期間1年未満の短期プライムレート(短プラ)が引き上げられれば、15年ぶりとなり、企業にとっては金利負担の増加につながる。これまでの超低金利時代が転換点を迎えている。
日銀は、先月の金融政策決定会合で政策金利である無担保翌日物コールレート(金融機関同士の超短期貸借金利)を0・1%から0・25%に引き上げることを決めた。米国などとの内外金利差を縮小し、行き過ぎた円安を是正して輸入を通じた物価高を抑える狙い。
日銀の政策金利引き上げに伴い、メガバンクなどは短期プライムレートを9月以降引き上げることを発表しており、山陰合銀、島根銀とも追随する見通し。山陰合銀の短プラは現在2・1%、島根銀は2・725%。市場金利に応じて各行で設定しており、現在の短プラは両行ともリーマンショック後の2009年1月に引き下げた水準が据え置かれている。
今後の短プラの引き上げ幅については政策金利の引き上げ幅に応じて0・15%程度を想定しており、短プラが上がれば、連動する形で期間1年以上の長期プライムレート(長プラ)も上昇する。
長短のプライムレートは、最優遇貸出金利と呼ばれ、融資しても返済に心配がない信用力のある企業に適用される。優良企業向けの貸出金利だが、短プラが変更されれば、他の貸出金利も連動する。企業にとってはこれまで軽かった銀行借り入れの金利負担が重くなり、運転資金や設備投資に影響を与える懸念もぬぐえない。
両行とも短プラ引き上げについて「現在検討中であり、時期、上げ幅ともまだ正式に決めていない。実際の金利は個別企業に応じて決める」としている。