新型コロナ対策として国や県などが実施した実質無利子無担保の「ゼロゼロ融資」の返済状況について民間信用調査会社、帝国データバンク松江支店が調査したところ、県内で全体の2割近くの企業が返済に不安を抱えていることが分かった。
 同じ調査で返済不安を訴える企業の割合は最高となり、人手不足や原材料高騰に加え、コロナ関連融資の返済が経営課題として浮かび上がってきた。
 調査は今年2月、県内に本社を置く269社を対象に実施、うち37%に当たる99社から回答を得た。
 それによると、ゼロゼロ融資を含め、新型コロナ関連融資を受けている企業は39社で全体の40%。小規模企業ほどその比率は高い。このうち返済開始時期が来て返済を始めた企業85%に対し、未返済や今後返済を始めるとしたのは13%。
 融資を受けた企業のうち、返済に不安を感じているのは18%に相当する7社。その割合は、前回昨年8月調査に比べ5ポイント上昇し、2022年2月から始まった同じ調査で最高となった。これらの企業は返済猶予など条件変更を求めている。
 現在抱えている経営課題を聞いたところ、「人手不足」が55%と最も多く、次いで「原材料などの仕入れ価格上昇」50%、「人件費高騰」48%などが目立った。
 2020年に実施されたゼロゼロ融資の返済開始は今年4月にピークを迎えている。調査結果について同支店の渡辺聡支店長は「融資を受けた企業の8割以上が返済を始めているのは順調な滑り出しと言えるが、一方で2割近くが返済に不安を抱え、今後増える恐れもある。コロナ禍以前に抱えていた企業の問題点があらためて表面化しているのでは」とみている。
 県商工労働部によると、県内のゼロゼロ融資は、国制度と県制度を合わせて9478件実行され、融資額は1765億円。昨年夏から今年春にかけて返済が本格化し、7割の企業が計画通り返済を始めている。その一方で3割が返済を猶予する据え置き期間の延長など条件変更の適用を受けている。
 返済時期が始まっても返済の見通しが立たない企業に代わって、県信用保証協会が金融機関に借金を返済した代位弁済は全体の2%程度にとどまっている。