連合島根(成相善朗会長)が今月6日時点で集計した加盟労組の今年春闘の賃上げ要求は、平均で1万4852円、5%アップ。前年同期の9828円、3・6%に対し金額で5000円以上高く、過去最高となった。物価高で実質賃金が目減りするなかで全国的にも、大企業を中心に高額回答が目立っている。その流れが県内にも及んでいるとみられ、経営側の対応が焦点となる。
 連合島根は、今年春闘の賃上げ要求基準を定期昇給と、基本給引き上げであるベアを合わせ1万2200円以上に設定。各労組に早期の要求提出を求めている。
 今月6日時点で要求を提出したのは、対象となる125組合のうち昨年より7組合少ない59組合。このうち県内に本社と拠点がある地場41組合の平均要求額は、全体より700円近く高い1万5545円。
 昨年春闘の連合島根加盟労組の平均妥結額は6178円、2・5%アップ。記録が残る2003年以降最高だった。連合島根は、このまま推移すれば、昨年実績を上回る妥結額を実現できるとみている。 
 集中回答日を迎えている全国の春闘は、大企業を中心に満額回答や中には要求額を超える回答を出すなど高額回答が相次いでいる。物価高や円安による企業の好業績が背景にあり、賃金と物価の好循環で長年続いたデフレ脱却できるかの転換点を迎えている。
 連合島根では、県内の労使交渉は今月下旬にヤマ場を迎えるとみている。青木政史副事務局長は「物価高で県内勤労者の生活は苦しくなっている。勤労者の生活を守るため、要求額を勝ち取りたい」としている
 これに対し、県経営者協会など経営側は、人材流出を防ぐため、防衛的な賃上げを認めつつ個別企業の支払い能力の範囲内を強調している。