民間信用調査会社、帝国データバンク松江支店は6日、島根県に本社を置く企業が県外に移転したり、県外から本社を島根県に移したりする企業転出入に関する調査結果を公表した。それによると、2022年、2023年と2年連続して転入が転出を上回り、それ以前の転出超過から流れが変わっていることが分かった。
 コロナ禍で在宅勤務が広がり、勤務地に関係なく働くことができるようになったことが背景にあるとみられる。ただ、その流れが続くかどうかは見通せない、としている。
 調査結果によると、2023年に県外から島根県に本社を移転した企業7社に対し、県内から県外に本社を移転した企業は6社。差し引き1社の転入超となった。22年は転入7社に対し、転出4社で3社の転入超。この調査を始めた14年以降転入超となったのは初めて。
 23年の場合、島根県に転入してきた企業のうち2社は鳥取県からで最も多い。反対に転出先は広島県、兵庫県各2社で最多。業種別では、転入は製造業、サービス業、不動産業が多く、転出はサービス業が最も多い。
 年商規模別では、転入が1億円未満、転出は1億円未満と1億円未満~10億円未満が多く、転入では小規模企業が多い。
 2年連続で転入超となった原因について同支店の渡辺聡支店長は「コロナ禍でテレワークが広がり、必らずしも都会地でなくても勤務できるようになったためでは。ただ、コロナ禍が終息してもその流れが定着するのか、あるいは一過性の現象なのか見極めていく必要がある」と話している。
 14年以降10年間の累計では、転入39社に対し転出57社と転出が18社上回る。社会減による転出超過が続く県人口の流れと歩調を合わせ、働く場と人口の関係をうかがわせる。取引先企業との距離や関連企業の集積、消費者数など企業の立地環境による吸引力は根強い。