記者会見する日銀の中川政策委員会審議委員=7日、松江市千鳥町のホテル一畑 日銀の金融政策を決める金融政策決定会合のメンバーである中川順子政策委員会審議委員が7日、松江市内で記者会見し、2%の物価目標を達成できる確率は高まっているとして、マイナス金利の解除など一連の金融緩和政策を見直す可能性に言及した。
 時期については明言しなかったが、今月18、19日に予定されている次回の金融政策決定会合を念頭においているともみられ、他の審議委員の発言も含め、日銀が2013年からスタートさせた超低金利政策からの出口戦略が「完成型」に近づいていることをうかがわせた。
 会見で中川委員は最近の物価情勢や賃上げの見通しなどに触れながら「物価上昇基調は安定的に推移し、企業の賃上げ姿勢も昨年以上に前向き」として物価目標を達成できる確率は高まっているとの判断を示した。
 その上で賃金と物価の好循環を確認できれば、マイナス金利や長短金利操作など金融緩和政策を変更することになるとの認識を明らかにした。
 中川氏は「次回の金融政策決定会合までに10日間しかないが、逆に10日間あるともみることもできる。その間のいろんな情報に注視したい」として、今月15日の春闘集中回答日の賃上げ額が金融政策を変更する上で重要なポイントとなることを示唆した。
 2016年から始まったマイナス金利政策は、金融機関が日銀に預ける準備預金にマイナス0・1%の金利を付けている。準備預金を抑制して市中への貸出を増やす狙いで、長短金利操作は長期金利が短期金利を上回るようにしている。これらが解除されれば、金利引き上げにつながる。
 中川氏は同日松江市内で開かれた県金融経済懇談会で講演。出席した県内の企業経営者らから、県内ではインバウンド(外国人観光客)需要を取り込めず全国に比べ景気回復は遅れているとの声や人手不足が深刻化し、賃上げは人材を引き留めるための防衛策などとの報告があったという。

<写真:記者会見する日銀の中川政策委員会審議委員=7日、松江市千鳥町のホテル一畑>