日銀松江支店が5日公表した2月の山陰の金融経済動向によると、山陰の景気は「持ち直している」として3カ月連続で判断を据え置いた。バブル期を超えて、過去最高を更新する株価が山陰の景気をどの程度後押しするかについては「限定的」という。
 景気判断を構成する6つの評価項目では、公共投資について「横ばい圏内で推移」から「緩やかに増加している」に判断を引き上げた他は据え置いた。
 公共投資の判断引き上げは、昨年8月鳥取県内を襲った台風7号の復旧工事が増えたのが主因。個人消費は一畑百貨店閉店に伴う駆け込み需要があったものの、物価高でモノの消費が後退。代わってサービス消費が増えている。
 ダイハツ工業による認証不正で生産・出荷が止まっている影響で系列販売店で新車が売れなくなっているほか、一部の部品生産が影響を受けている。
 最近の株価上昇が山陰の経済に与える好影響について長谷川圭輔支店長は「外国人投資家の積極的な買いが株高の背景にあり、国内の投資家はそれほど盛り上がっていない。株高による資産効果で消費が増える効果は山陰では限定的」とみている。
 その上で先行きについて長谷川支店長は「物価高でモノからサービスに消費の中心が移っている。そのサービスは宿泊施設や飲食店が人手不足で十分供給できない状態。当面は春の賃上げに注目したい」としている。