民間信用調査会社、帝国データバンク松江支店は、昨年1年間の県内事業所(個人事業主を含む)の休廃業・解散状況をまとめた。それによると、件数は326件で前年と比べ14件減り、4年ぶりに前年を下回った。経営者の高齢化などで事業をたたむケースが多く、件数としては倒産件数を上回る高水準が続いている。
 業種別では、建設工事に携わる左官や木工など工事業が68件と最も多く、サービス業56件、小売業51件など。休廃業の原因については明らかになっていないが、島根県は経営者の後継者不在率が全国で3番目に高いことから、経営者の高齢化や後継者がいないことなどが多いとみられている。
 昨年中に休廃業した事業所が県全体の事業所に占める比率は3・5%で全国都道府県で20番目に高い。最高は東京都6・8%、最低は和歌山県の2・4%だった。
 昨年の県内の企業倒産件数は53件と前年の2倍近くに増えたが、休廃業件数はその6倍に当たる。一昨年の場合はその年の倒産件数の12倍に上るなど、このところ倒産件数を圧倒する勢いで事業所が消えている。負債を残して倒産する前に廃業の道を選ぶケースが多い。
 県内では、金融機関などを中心にM&A(企業の合併・買収)などを通じて事業承継を推進しようとする動きがあるが、事業の将来性を見限ってか、経営者の親族以外の者が経営を引き継ぐ第三者承継は少ないのが実情という。
 同支店は「休廃業の件数としては高水準が続いている。県内では経営者の高齢化が進んでいることから、事業継続を断念してしまう〝あきらめ型廃業〟が多いのでは」と推測している。