14日に閉店した県内唯一の百貨店、一畑百貨店(松江市朝日町)に商品を納入するなどしていた取引企業は、県内外に104社、年間取引額20億8000万円と推定されることが、民間信用調査会社、帝国データバンク松江支店の調査で分かった。
 このうち島根県内の取引企業は半数の52社、取引額14億1500万円で、食品などを卸していた企業は有力な販売先を失うことになり、影響は小さくないとみられる。ただ、閉店の半年前に発表していたこともあり、資金繰り計画の急な変更などによる関連倒産の恐れは小さいと同支店はみている。
 調査結果によると、商品を直接卸すなど直接取引企業は89社、直接取引を介した間接取引企業は15社。このうち県内企業で一畑百貨店との取引依存度が最も高い企業の依存度は30%で年間取引額1億円以上の企業は3社。
 取引先の業種別では卸売39社、食品など製造業38社でこの2つの業種だけで全体の4分の3を占める。次いで小売業13社、サービス業8社など。
 1958年に開店した一畑百貨店は、ピーク時の2002年3月期には108億円の売り上げがあったが、郊外型ショッピングセンターやネット通販などに押され、23年3月期には43億円に落ち込んでいた。閉店後の跡地利用については土地、建物を所有している親会社の一畑電鉄が売却と賃貸の両面で相手先と交渉に当たっているが、まだ具体化しておらず当面は空き店舗となる。
 調査結果について同支店は「半年前には閉店が公表されていたため、大きな混乱はない。ただ、県内唯一のデパートがなくなることで販路を失う業者もあり、影響は小さくない」と話している。