農水省中四国農政局が公表した2022年の島根県農業産出額は、646億円で前年に比べ5・7%増加した。野菜が大幅に増え、県全体の農業産出額としては2005年以来の金額となった。一方で物価高の影響で飼料やエネルギー価格が高騰したたため、生産農業所得は減少し、農家経営は悪化した。
 産出額の品目別では、畜産が前年より2・2%増えて276億円。コメが1・8%増の167億円、野菜が27・3%増の126億円、果実2・3%増の44億円。野菜を筆頭に主要品目で前年を上回った。  
 この結果、品目別構成割合は、畜産が43%、コメが26%、野菜20%、果実7%となった。かつてはコメが中心だったが、消費量の減少や生産調整で肉牛など畜産に首位の座を譲っている。
 産出額から飼料や肥料、燃料費など経費を差し引いた生産農業所得は、6・1%減の230億円。物価高で生産費の増加率が産出額の伸びを上回り、生産者の経営は苦しくなった。トウモロコシなど輸入飼料の値上がりの直撃を受けた畜産のウエートが大きいため、生産コストの上昇が響いた。
 県内の農業産出額は、1985年に1000億円を割って以来減少傾向が続いており、22年の全国都道府県別順位は40位。中四国9県では最下位に沈んでいる。22年の生産農業所得も中四国で最も少なかった。
 中四国農政局は「島根県の場合、畜産の割合が高いため、飼料代など物価高騰の影響を強く受けた」と話している。