県統計調査課が公表した昨年1年間の毎月勤労統計の地方調査報告によると、県内の従業員5人以上の事業所の1人当たり平均現金給与総額は、28万253円で前年と比べて1・4%減り、3年ぶりに減少した。全国を100とした1人当たり給与水準は86と前年より拡大し、全国との賃金格差は2012年以来の大きさとなった。
 現金給与総額のうち、基本給と残業代などを合わせた「決まって支給する給与」も1人平均前年比1・1%減の23万4055円と2年ぶりに減少。
 2020年を100とした現金給与総額の実質賃金指数は、97・2で前年を4%下回り、統計上確認できる6年以降最大の落ち込みとなった。名目賃金の減少に加え、物価上昇分を差し引いた実質賃金も大幅に減少。それまで名目賃金は増えなくても物価が上がらなかったため、何とか現状維持を保っていた家計は物価高で大きな打撃を受けた。
 主な産業別の現金給与総額は、情報通信業の40万3000円を最高に、金融・保険業36万9000円、複合サービス業35万4000円、建設業35万円、製造業32万5000円、運輸・郵便業29万8000円、医療・福祉28万7000円、卸・小売業22万4000円など。最低は宿泊・飲食サービス業10万4000円だった。
 就業形態別の現金給与総額は、正規社員を中心とする一般労働者34万5000円に対し、パート労働者9万9000円と3倍以上の開きがあった。
 男女別では、男性平均33万6000円に対し、女性平均21万6000円。全国の女性の平均賃金が男性の54%だったのに対し、島根県の女性は64%と全国を10ポイント上回り、男女格差は全国より小さかった。県内労働者の月間総実労働時間数は1人平均142時間で前年比1・6%減と3年連続で減少した。
 昨年の県内の現金給与総額が減った原因について同課は「統計上の数値しか把握していないため、原因については分からない」としている。コロナ禍の20年から2年間上昇した賃金が昨年になって下落に転じた原因は統計上は明らかにされていない。