協定書に調印する関係者=18日、松江市殿町の県警察本部 山陰合同銀行(本店・松江市魚町)は18日、特殊詐欺被害を防ぐため、県警察本部、NTT西日本島根支店と連携する協定を結んだ。同行の利用者を対象に固定電話に録音機能付きのアダプターを設置し、不審な電話を人工知能(AI)が察知して本人や家族などに知らせるサービスで連携する。NTT西日本が提供する特殊詐欺対策サービスに金融機関や警察が加わり、巧妙化する特殊詐欺の防止対策を強化する。
 このサービスは、固定電話にかかってきた通話を録音しながら、通話内容をAIが同時解析。高齢者らが騙されやすい言葉や語り掛けをAIが検出し、その結果を電話やメールで本人や家族らとともに、山陰合銀にも知らせて警戒を呼び掛ける。同行は、県警察本部に連絡して「多重型」の被害防止の仕組みをつくる。
 サービスを利用できるのは、山陰合銀に預金などの取引をしている県内在住者に限る。事前に登録が必要で、費用はアダプターの設置費用が税込みで1万2100円。利用料は2025年3月まで無料とする。
 NTT西日本では、今年5月から固定電話にかかってきた相手方電話番号を表示する無料サービスを展開するとともに、特殊詐欺被害防止に向けて自治体や警察など公的機関と連携してきたが、金融機関など民間主導型で組むのは初めて。
 県内で今年に入り確認された特殊詐欺被害は66件、被害総額1億5229万円。既に昨年1年間の56件、7272万円を上回っており、還付金を装ったり、架空請求などが主な手口。今年の被害のうち3分の1に当たる22件は固定電話が使われており、被害に遭った人の半数は高齢者。
 この日は、松江市殿町の県警察本部で連携協定の締結式が行われ、山陰合銀の高橋毅営業統括部長、小田晃弘NTT西日本島根支店長、中井淳一県警本部長の3人が調印した。 山陰合銀の高橋部長は「特殊詐欺の手口は年々巧妙化しているが、誰かが声をかけることが被害防止に有効。3者が連携することで効果を上げたい」と話した。

<写真:協定書に調印する関係者=18日、松江市殿町の県警察本部>