日銀松江支店が13日公表した山陰両県の12月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、全産業でプラス12と前回9月調査を4ポイント上回り、2018年3月調査以来5年9か月ぶりの高水準となった。
 自動車関連を中心とする製造業の復調が顕著で非製造業も宿泊や飲食などサービス消費が好調。物価高による消費マインドの押し下げリスクを抱えながらも、コロナ禍後の山陰経済の回復を裏付けている。
 DIは、景気の現状を「良い」と答えた企業割合から「悪い」と回答した企業割合を差し引いた数値。数値のプラス幅が大きいほど景気が良くなっていることを示す。
 山陰の12月短観の業種別では、製造業が0と前回のマイナス12から大幅に改善、1年9カ月ぶりにマイナス圏から脱した。サプライチェーン(供給網)の要で幅広い業種に影響を与えた半導体不足が解消し、自動車生産が持ち直したことで関連部品の受注が回復。 
 内訳では、鉄鋼が前回のマイナス14から0、はん用・生産用・業務用機械が同マイナス44からマイナス11、紙パルプが同マイナス33から0へと低迷していた業種が底を打った。
 非製造業は、プラス19と前回比1ポイント改善。宿泊・飲食サービスがプラス60と前回を16ポイント上回ったほか、対個人サービスが17ポイント、不動産40ポイント、建設16ポイント前回よりそれぞれ高くなった。
 一方で物価高による買い控えや暖かい日が続いたことで冬物衣料の出足が鈍くなった影響で小売りや卸売りなど消費部門は振るわなかった。
 先行きのDIは全産業でプラス7と5ポイントの低下を見込み、製造業は2ポイント低下のマイナス2、非製造業は8ポイント落ち込んでプラス11を予測している。
同支店の長谷川圭輔支店長は「製造業が底を打ち、消費もモノ消費から宿泊・飲食などサービス消費に移行している。物価高を上回る賃上げが景気回復の鍵を握る」と話している。
 調査は、11月から12月にかけて山陰両県の174社を対象に実施、99%に当たる173社から回答を得た。