松江市の金型メーカー、テクノア(松江市富士見町、石川益代代表清算人)は11月7日、松江地裁から特別清算開始命令を受けた。民間信用調査会社、帝国データバンク松江支店の調べによると、負債総額は4億3600万円。
 経営者が高齢化している同社は、後継者がいなかったため、会社分割して事業をテクノキューブ(松江市)に既に譲渡、従業員11人の雇用は引き継がれている。テクノアは今年3月の株主総会の決議に基づき解散した。
 1988年に設立。自動車や農業機械などの金型を手掛け、積極的な設備投資でピーク時の2008年10月期の年間売上高は8億円に上っていた。しかし同年のリーマン・ショックで受注が激減し、12年の売上高は6000万円まで落ち込んでいた。
 その後、売り上げは回復したが、関連会社への貸し付けや立て替え金などで不良債権を抱え、あおりで借入金の返済負担が重くなっていた。経営者が高齢化しているため、雲南市掛合町にある機械部品メーカーの協栄金属工業が全額出資してテクノキューブを子会社し、事業を承継する形となった。