日銀松江支店は2日、今年7~9月の山陰両県の企業短期経済観測調査(短観)の結果を公表した。景気の現状を示す業況判断指数(DI)は、前期(今年4~6月)からわずかに低下したが、昨年6月期以降、6四半期連続でプラスを維持。景気の持ち直しが続いていることをうかがわせた。
 9月期の業況判断DIは、全産産業でプラス8となり、前期の6月と比べて2ポイント低下。このうち製造業は、前期から横ばいのプラス12。非製造業は同4ポイント下がって18となった。
 製造業は、輸送用機械や鉄鋼で原材料価格の高騰を販売価格に転嫁する動きが進んだが、食料品の受注が伸び悩み、電気機械も部品在庫の積み上がりを警戒して生産を抑制気味とした。
 非製造業は、全国旅行支援がなくなったことから、宿泊や飲食業で押し上げ効果が薄れた。卸・小売りや運輸・郵便は改善し、建設業は伸び悩んだ。
 価格転嫁については仕入れ価格の上昇に販売価格の上昇が追いついておらず、全国の動きに後れを取っている。人手不足を訴える企業は増え続け、資金繰りも余裕がなくなりつつある。
 先行き見通しは、製造、非製造業とも改善を見込んでおり、特にコロナ禍から回復途上にある宿泊・飲食業は好調さが加速するとみている。
 同支店の長谷川圭輔支店長は「一部に弱い動きはみられるが、全般に持ち直している。半導体不足による自動車減産の影響も緩和し、価格転嫁の兆しもみられる。欧米のインフレ抑制など海外経済の動向には注視したい」と話している。
 調査は、山陰両県の企業174社を対象に8月から9月にかけて実施、すべての企業から回答を得た。業況判断指数は、「業況を良い」と回答した企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた数値。