財務省松江財務事務所(森脇稔所長)が公表した今年7~9月期の県内の法人企業景気予測調査によると、企業の景況感を示す景況判断指数(BSI)は全産業でプラス5・9で前期(4~6月)の6・9と比べ、プラス幅が1ポイント低下した。コロナ禍から景気が持ち直す中で人手不足が加速し、同調査としては過去最高となった。
 前年度から積み残した災害復旧工事に伴い、窯業・土石を中心に製造業の景況感が前期のマイナスから大幅に上向いたのに対し、非製造業は、コロナ禍からの急回復感が一服した。 
 BSIは、景況が前期より「上昇した」とみる企業割合から「下降した」とみる企業割合を差し引いた指数。数値が大きいほど企業の景況感は良いことを示している。7~9月期調査では、資本金1000万円以上の県内企業102社が回答した。
 製造業のBSIは、前期のマイナス18・9からプラスマイナスゼロまで大幅に改善。災害復旧公共事業向けのコンクリート製品需要などが増えているのに加え、コロナ5類移行後の観光客の増加で土産品の売り上げが回復。土産品用の食品生産が増えた。
 一方で原材料価格の高騰で住宅建設が伸び悩んでいるため、木材・木製品の景況感は落ち込んでいる。
 非製造業は、プラス9・2と前期のプラス21・5から12・3ポイント低下。コロナ5類移行後初めての夏休みで客足は伸び、外出の機会が増えたことで関連商品の売り上げは増えている。ただ、コロナ禍からの回復は既に織り込まれており、上昇感は横ばいとする企業が多かった。
 数値が高いほど人手不足感が強くなる従業員判断指数は、プラス48と前期から9ポイント上昇。これまでの最高だった2018年10~12月期の47を上回り、過去最高を更新した。うち製造業は、前期から13・5ポイント上昇して35・1、非製造業も6・4ポイントアップの55・6とともに人手不足は深刻化している。
 先行きについては10~12月期プラス17・6を見込んでいるが、来年1~3月期はプラス2と振れが大きくなっている。
人手不足の指数が過去最高となったことについて松江財務事務所は「前期に一部の製造業で行われていた生産調整が解消されたことで人材のひっ迫感が強まった」と話している。