政府系金融機関の日本政策投資銀行松江事務所(松江市殿町、白水照之所長)が公表した県内の資本金1億円以上の事業所の本年度設備投資計画は、前年度実績に対し46・6%増。2年連続して増え、2015年度以来高い伸びとなった。コロナ禍が落ち着いてきたため、企業が設備投資に積極的になったとみられる。
 全産業の設備投資計画は、金額で前年度実績の288億円から144億円、率にして46・6%増えて422億円。対前年度伸び率としては2015年度(54%)以来の水準となった。
 このうち製造業は、356億円で前年度実績(以下同じ)と比べ46・1%増えた。このうち、電子部品を含む電気機械は、54・8%増の275億円と製造業全体の65%を占める。次いで自動車用金型など輸送用機械16億円で3倍近く増え、鉄鋼11億円、26・9%増など。
 一方、非製造業全体は、66億円で49・2%の伸び。内訳は、卸・小売業23億円、29・9%、宿泊・飲食などサービス12億円、3倍、通信・情報も8億円と2倍にそれぞれ増えた。これに対し、建設業は5億円と34%減った。
 非製造業の場合、製造業と比べて投資額は小粒ながら、前年度から増やす業種が多く、コロナ禍で先送りされてきた投資が息を吹き返してきた。
 県内を取り巻く投資環境は、コロナ禍からの回復の追い風が吹く一方、海外経済の減速や原材料価格の高騰など景気下押し要因も重なる。調査結果について白水所長は「前向きの投資姿勢を反映して高い伸びとなった。しかし海外経済の不透明感が強まるなどリスク要因にも注視していきたい」と話している。
 調査は今年6月、県内に事業所を置く資本金1億円以上の企業を対象に実施、134社から回答を得た。