日銀松江支店が4日公表した7月の山陰両県の金融経済動向は「一部に弱い動きがみられるものの、全体として緩やかに持ち直している」。4カ月連続で景気判断を据え置いた。個人消費など6つの評価項目のいずれでも、前月判断を据え置いた。
 個人消費では、松江市の百貨店で6月に閉店が報道されて以降急速に客足が伸びたが、鳥取県側の百貨店を含めると弱い動きとなっている。スーパーなど量販店、ホームセンターの売り上げは堅調で、新車の登録台数も持ち直している。生産は、半導体の供給制約は緩和されたものの、他の部品在庫がさばけないため、自動車の生産調整が尾を引いている。設備投資は増加しているが、公共投資は横ばい、住宅投資は持ち直しの動きが一服している。6月の松江市の消費者物価は、前年同月比で3・3%、鳥取市は4・2%上昇し、物価高が定着しつつある。
 これについて長谷川圭輔支店長は「想定を超える物価上昇が消費マインドを大きく冷やす事態には至っていないが、買い物単価が下がったり、安価な商品に移行する懸念の声は現場から上がっている」として、物価高が消費を抑制する「消費不況」を警戒。
 ただ、日銀の物価見通しでは、2023年度の上昇率を当初の1・8%から2・5%に引き上げたが、24年度は1・9%、25年度は1・6%の上昇率に落ちつき、2%の日銀の物価目標には届いていないという。