財務省松江財務事務所(森脇稔所長)が26日公表した今年7月期の島根県の経済情勢は、「緩やかに持ち直している」として、今年4月の前期の「持ち直しのテンポが緩やかになっている」から判断を上方修正した。上方修正は昨年7月期以来4期ぶり。新型コロナが感染症法上の5類に移行したことに伴い、消費が回復したことが貢献した。
 情勢を判断する8項目のうち、個人消費と企業の景況感の2項目を前期と比べて引き上げ、公共事業を引き下げた。生産活動、住宅建設、雇用情勢、設備投資、企業収益の5項目は据え置いた。
 新型コロナの5類移行や全国旅行支援などで百貨店やスーパーなど個人消費が盛り返し、主要観光地の入込数も緩やかに回復。一方で生産活動は、海外経済の減速で電子部品・デバイスの生産水準が低下、鉄鋼・非鉄金属も弱い動きとなっている。
 ただ、ここにきて半導体の供給制約が緩和されてきたことで、自動車完成メーカーの生産が安定し、関連業種の輸送機械は持ち直している。
 今後の見通しについて森脇所長は「海外経済の減速や物価高など景気を押し下げるリスク要因に注視していかなければならないが、企業の景況感は改善しつつある」と話している。