民間信用調査会社の帝国データバンク松江支店の調査によると、山陰両県で今年度中に設備投資を「実施」「検討している」企業の割合が全体の60%を上回り、3年連続して60%を超えた。多くは老朽化した機械や設備の更新で、コロナ禍後の需要回復や人手不足に対応するデジタル化投資もあり、投資需要は比較的底堅く推移している。
 調査は今年4月、山陰両県に本社を置く415社を対象に実施。うち36%に相当する149社から回答を得た。
 調査結果によると、本年度中に設備投資を「実施」「計画、検討している」企業の割合は、全体の63%の94社。前年度の同調査と比べ4ポイント低下で、前年度比低下は3年ぶりだが、3年連続で60%を上回った。
 設備投資の目的は、「設備の代替」が70%で最高。「既存設備の維持・補修」36%、「省力化・合理化」31%、「情報化関連」22%、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」16%などと続いており、コロナ禍で先送りしてきた設備の更新投資に手を付けるところが多く見られた。
 業種別で見ると、サービス業で8割近くの企業が設備投資を「実施」「計画」と回答。製造業67%、卸売業65%、小売業50%などだった。
 一方、設備投資を予定していない企業は、全体の3割に相当する44社。理由としては「先行きが見通せない」が20社で半数近くを占めた。このほか、「現状で間に合っている」27%、「投資に見合う収益を確保できない」21%、「借り入れ負担が大きい」14%などで、小売業や建設業で慎重な姿勢が目立った。
 同支店の豊田貴志支店長は調査結果について、「コロナ禍で先送りしてきた更新投資が中心だが、人手不足に対応するデジタル化投資などもあり、全国水準と比べると、山陰企業の投資マインドは相対的に強いのでは」と話している。