コロナ返済、物価高騰影響

 民間信用調査会社、帝国データバンク松江支店は11日、県内の今年上半期(1~6月)の企業倒産状況をまとめた。新型コロナの影響で倒産件数は、前年同期と比べて大幅に増え、半年間としては2015年上半期以来8年ぶりの水準となった。コロナ禍で経営体力が落ちているところへ、原材料価格の高騰やコロナ関連融資の返済が本格化することなどから、今後さらに増える恐れがある。
 件数は、26件で前年同期比12件増。このうちコロナ禍で売り上げが落ち込むなどコロナ関連倒産は18件を占めた。負債総額は35億2300万円で、同22億3000万円、39%減った。負債総額が減ったのは、前年上期に松江市内で大型倒産があった反動のため。この調子が続けば、年間の倒産件数としては54件だった2012年以来11年ぶりの水準となる。
 販売不振が倒産原因の大半で、業務を停止する破産型がほとんど。このうち負債総額が最も大きかった最大倒産は、奥出雲町が出資していた第3セクターの奥出雲椎茸。森林資源に恵まれた環境を生かし、シイタケの生産販売を展開していたが、10億円以上の負債を抱えて今年3月破産、従業員90人以上を解雇した。
 サッカーチームを運営する松江シティFCや松江市を中心にピアノ教室を運営していた井上楽器店、仏壇・仏具販売のヤスヰなど市民に親しまれていたり、古くから営業していた老舗が含まれていたりするなど、幅広い業種で名前が通った企業の経営が行き詰まったのも特徴。
 今後の見通しについて同支店の豊田貴志支店長は「倒産の先行指標となる県信用保証協会による代位弁済が昨年から急増するなど、コロナで疲弊する企業が増えている。(無担保無保証の)コロナ関連融資の返済が本格化し、原材料も高騰するなかで資金繰りに行き詰まるところが増えてくるのでは」とみている。