資金繰りは正念場

 日本政策金融公庫松江支店が実施した今年1~3月期の山陰両県中小企業動向調査によると、従業員20人未満の小企業の業況は「厳しい状況にあるものの、持ち直しの動きがみられる」として判断を前期(昨年10~12月)から据え置いた。
 昨年7~9月期までの「厳しい状況で足踏みしている」から景気判断は改善、売り上げは増えているが、原材料など仕入れ価格の上昇に販売価格が追い付かず、採算は悪化している。
 景気の現状を示す業況判断指数は、マイナス31で依然として水面下ながらも前期比7ポイント改善。業種別では、卸売業25ポイント、飲食店・宿泊業12ポイント、小売業4ポイントそれぞれ上向いた。コロナ禍からようやく抜け出しつつあることをうかがわせた。
 売上判断指数も19?上昇してマイナス13。業種別で製造業がプラス16と27?改善してプラスに浮上したほか、卸売業が40ポイント上向いてゼロまで持ち直し、建設業23ポイント上昇のマイナス27、サービス業16ポイント上昇のマイナス36、小売業9ポイント上昇のマイナス20、飲食店・宿泊業23ポイント改善のマイナス5など、売り上げはほぼすべての業種にわたって回復しつつある。
 これに対し、採算判断指数はマイナス37と2ポイント悪化した。業種別では、飲食店・宿泊業マイナス44、製造業42、建設業マイナス36と採算面は厳しくなっている。原材料など仕入れ価格の上昇に販売価格が追い付かなかったのが主因で、今後も販売価格を上げるのが難しいと見込む事業所が多い。
 一方、民間金融機関からの借り入れが難しくなったとする事業所が「容易になった」とする事業所を上回った。その差は近年の調査で最大となり、無利子無担保のゼロゼロ融資など新型コロナ関連融資の返済が本格化する中で返済に窮する事業所が急増している。
 島根県は、中小企業の資金繰りを支援するため、国、県のゼロゼロ融資について返済を猶予する据え置き期間を当初の3年から1年延長する措置する措置を取っているが、4年目以降は有利子としている。
 調査結果について同支店は「コロナ禍で打撃を受けた小企業の負債は膨らんでおり、資金繰りは苦しくなっている。返済猶予など条件変更を巡る金融機関との交渉が焦点となりそうだ。採算に影響を与える仕入れ価格は波状的に引き上げられており、販売価格の引き上げといたちごっになっている」と話している。
 調査は、山陰両県の小企業190社を対象に今年3月実施、70%に相当する132社から回答を得た。業況判断指数は、景気を「良い」と答えた企業割合から「悪い」と回答した企業割合を差し引いた数値。