新型コロナ関連融資の返済が今年5月から本格化するなかで、融資を受けている県内企業の1割以上が返済に不安を抱いていることが、民間の信用調査会社、帝国データバンク松江支店の調査で分かった。ただちに資金繰りに窮する事業所が続出する状況ではないが、コロナ禍から立ち直っていないところではじわじわと経営を追い詰める恐れがある、と同支店はみている。
 調査は、今年2月、県内の企業261社を対象に実施。うち29%に相当する75社から回答を得た。
 それによると、政府系金融機関などが実施している無利子無担保の「ゼロゼロ融資」を含め、コロナ関連融資を受けている企業は51%に相当する38社。一方、「借りていない」と答えた企業は45%の34社。既に全額返済している企業はゼロだった。
 融資を受けている企業に返済見通しを聞いたところ、8割近い30社が条件通り全額返済できると答えた。一方、「金利減免や返済額の減額・猶予など条件緩和が必要」「返済のめどは立たないが、事業は継続できる」「返済のめどが立たず事業を継続できなくなる」などを合わせ、1割以上が返済に不安を抱えている。
 資金繰り対策としては新型コロナ関連融資と他の融資を一本化して返済期間を延長したり、月々の返済額を減額したりする支援策を活用した企業が8社、21%と最も多く、次いで「元本返済の延期や新規融資」3社、8%など。
 返済開始時期については、既に返済を始めているが18社(47%)あり、いずれも条件通り返済している。6月末まで8社(21%)、12月末まで6社(16%)、来年以降4社(11%)を合わせると、9割近くの企業が年内に返済が始まると答えた。
 ゼロゼロ融資など新型コロナ関連融資は、コロナ禍で売り上げが落ち込むなど急激に業績が悪化した事業所を対象として2020年度に創設。借り入れた時期から3年間は無利子無担保で据え置くなど優遇条件が与えられ、今年5月から返済が本格化する。島根県では地元経済界の要請を受け、据え置き期間を1年延長する措置をとっている。
 調査結果について同支店の豊田貴志支店長は「これから返済が本格化するが、急激に資金繰りが悪化して倒産が相次ぐという状況にはない。しかし、元々経営が思わしくないところは返済負担が重圧となってくる」と話している。