松江市の楽器販売、音楽教室運営の井上楽器店(松江市殿町、井上透代表)が経営に行き詰まり、今月2日、松江地裁から破産手続き開始決定を受けていたことが分かった。民間の信用調査会社、帝国データバンク松江支店の調査によると、負債総額は1億2000万円。事業を停止し、昨年時点で6人いた従業員は全員解雇した。
 1927年、楽器販売店として創業。78年以降は松江市内を中心にピアノ、エレクトーン教室を運営、ピーク時には生徒数が2000人を超えるなど順調に業績を伸ばし、94年8月期には6億円近い収入があった。
 しかし、その後の消費不振で楽器の売り上げが落ち込むとともに、少子化の影響などで生徒数も650人に減り、2020年8月期には年間収入高が1億円まで減少。大幅な赤字を抱えて債務超過に陥っていた。
 経営を立て直すため、中古楽器の販売を強化する一方、音楽教室を統廃合したり、大人向けや1歳からのピアノ教室を開講したりするなど再建を図ったが、最近ではコロナ禍で音楽教室が休講に追い込まれるなど経営に行き詰まった。
 音楽教室については5月から同業者に一部事業を引き継いでもらっている。