米子市の皆生温泉にある老舗温泉旅館「白扇」(米子市皆生温泉、福本一宇代表、従業員15人)は経営に行き詰まり、7日、鳥取地裁米子支部に民事再生法の適用を申請。同日保全処分命令が出された。民間信用調査会社、帝国データバンク米子支店などによると、負債総額は今年に入って山陰両県最大の16億円。
 米子市の食鶏加工会社、大山どり(島原道範社長)がスポンサーとなって経営再建を支援し、従業員の雇用を維持しながら、営業を続ける。
 白扇は1955年設立。99年に8億円を投じて大幅な改修を行い、露天風呂付客室16室を含めて33室に増やすなど高級旅館化を進めた。日本海を一望できる立地やカニなど海鮮料理が人気を集め、ピークの2016年には年間6億1000万円の売り上げがあった。しかし、設備投資の返済負担に加え、新型コロナの影響で22年には売り上げが4億1000万円に落ち込むなど経営が悪化していた。
 コロナ禍に入ってからは、政府による全国旅行支援などで売り上げを回復させようとしたが、燃料高などで資金繰りに行き詰まった。コロナ関連の倒産は鳥取県内で14件目。