奥出雲町は29日、同町が100%出資する第三セクター、「有限会社奥出雲椎茸」(同町三沢、代表取締役・糸原保町長)が松江地方裁判所から破産手続き開始決定を受けたと公表した。負債総額は約10億円。破産管財人は、松江市の「熱田・廣澤法律事務所」の熱田雅夫弁護士。
 同社は、1992(平成4)年に設立。資本金9900万円、従業員91人。シイタケをはじめキノコ類を菌床栽培で生産・販売し、菌床の生産販売も手掛けていた。シイタケ栽培ハウスは直営10棟、町内外の農家20棟。
 出荷のピークは2001年度。原油高騰、物価高騰などの影響による製造コストの増大や、新型コロナウイルスのまん延、栽培農家の離農やシイタケの生産量が不安定だったことによる売り上げの減少で経営が悪化。奥出雲町は、昨年度と今年度で合計2億8500万円を同社と農家に支援していた。同社は28日、松江地裁に自己破産を申請し、破産手続き開始が認められた。

 絲原町長コメント
 「経営が上向かず、このような結果となったことについて、非常に遺憾ではありますが、町民の将来のためには避けては通れない苦渋の決断となりました。深くおわびを申し上げます」