価格転嫁徐々に進む

 日本政策金融公庫松江支店が公表した昨年10~12月期の山陰両県の中小企業(従業員20人以上)動向調査の結果によると、景況感を示す業況判断指数は、マイナス0・9と前期(7~9月期)と比べて7・8ポイント低下した。前期比低下は2カ月ぶり。この結果、同期の景況判断は「一部に弱さがあるものの、持ち直しの動きがみられる」として2期連続据え置いた。
 業種別では、製造業がプラス16と飲食料品、窯業・土石を中心に前期比(以下同じ)17・5ポイント改善した一方、非製造業はマイナス6・8と前期のプラス7・1からマイナスに転じ、建設業や宿泊・飲食サービス業などの不振が響いた。
 今年1~3月期の先行きについては製造業が42・6と引き続き改善を見込んでいるのに対し、非製造業はマイナス2・9と悪化幅の縮小を見込む。業績が上向き傾向にある製造業と非製造業の業績格差が拡大する見通し。
 売上判断指数は、9・1ポイント低下してマイナス1・5と前期7・6のプラスの領域から再びマイナスに転じた。製造業が前期の17・7から13・3にプラス幅を縮小させ、非製造業も0・2からマイナス7・5とマイナスに転じた。
 純益率判断指数は、0・9ポイント低下してマイナス11・5となったが、今年1~3月期はマイナス7・3と依然として水面下ながら、改善を見込む。
 販売価格判断指数は、10ポイント上向いて60となったが、仕入れ価格判断指数も5・2ポイント上昇して94・1と物価高の勢いは止まらない。仕入れ価格の上昇が販売価格の引き上げを上回っているが、その差は縮小しており、中小企業が仕入れ価格の上昇を販売価格に転嫁する動きは徐々に進みつつある。
 経営上の問題点としては、原材料高を挙げる企業が全体の3割近くと最も多く、次いで人手不足と売り上げの減少が27%で並ぶ。ただ、ここにきて原材料高を訴える企業が少し減ってきているのに対し、求人難を抱える企業は増え続け、人手不足が山陰の中小企業の構造問題になっている。
 これらの結果について同支店は「昨年春ごろまではコロナ禍が経営上の脅威だったが、最近は物価高に変わってきている。価格転嫁が中小企業経営の鍵を握るのでは」とみている。
 調査は、山陰両県の同公庫の取引先企業134社を対象に昨年12月中旬に実施。うち40%に当たる53社から回答を得た。業況判断指数などは、業況などを「良い」と回答した企業割合から「悪い」と答えた企業割合を差し引いた数値。