中小企業デジタル化に距離/帝国データ
2022年12月14日
ノウハウ、人材の不足
山陰両県の企業でDX(デジタルトランスフォーメーション、デジタル化)に取り組んでいるのは全体の16%にとどまっていることが、民間信用調査機関の帝国データバンク松江支店の調査で分かった。経営革新や業務効率化に向けてDXが叫ばれながらも、ノウハウや人材の不足で対応できていない中小企業がまだ多いことが明らかになった。
DXについてどの程度理解し、取り組んでいるかを聞いたところ「言葉の意味は理解しているが、取り組んでいない」と答えたのが全体の32%と最も多かった。
次いで「言葉の意味を理解し、取り組みたい」が25%、「意味を理解し、取り組んでいる」16%。「言葉は知っているが、意味を理解できない」9%、「言葉も知らない」7%の順。
これらの回答をDXに対する姿勢でくくると、前向きな企業が全体の41%、行動を起こしていない企業48%とDXに距離を置く企業が上回った。「分からない」とする企業も全体の1割。
DXに取り組むうえでの課題は「必要なスキルやノウハウがない」が44%と最も多く、「対応できる人材がいない」と「対応する時間がない」を合わせて43%。「費用が確保できない」23%、「どこから手を付けてよいか分からない」21%と続く。
一方でDXに必要な技術を従業員に身に付けてもらうリスキリング(新しい知識や技術を学ぶこと)に取り組んでいるところは全体の54%あり、企業の経営姿勢と微妙なずれもうかがわせた。
DXに対応できる人材不足を補うため、外部から兼業・副業人材を受け入れたり、募集している企業は5%にとどまり、デジタル化に対する開かれた姿勢はあまり見受けられない。
調査結果について同支店は「大企業は積極的だが、中小企業は敷居が高いと受け止めているようだ。DXを大げさにとらえていることもあるが、中小企業にはまだなじみが薄い」とみている。
調査は、山陰両県の企業380社を対象に今年9月に実施。うち40%に当たる150社から回答を得た。