松江市の建具工事の老舗、福田本店SC(松江市西川津町、福田誠代表清算人)が経営に行き詰まったため、会社を分割して新会社を設立、旧会社が松江地裁から特別清算開始命令を受けていたことが、15日分かった。民間信用調査機関、帝国データバンク松江支店の調べによると、負債総額は4億8000万円。従業員10人は新会社に採用されているため、解雇者はいない。
 1931年創業の福田本店が2005年、関連会社の山陰サッシセンターと合併して福田本店SCとなった。建築金物の卸売りからスタートし、金属製建具設置工事やガラス設置工事で業績を伸ばしながら、自社工場でサッシを加工するなどピーク時の91年には11億3800万円を売り上げた。
 しかし、その後の公共施設の縮小や民間設備投資の低迷で受注が大きく落ち込む一方、取引先の倒産などで代金回収が滞るなどして経営が悪化。売上は2020年に2億1700万円まで落ち込み債務超過に陥った。従業員の雇用を守るため、取引銀行の山陰合同銀行の主導で再建を支援。会社を分割して事業や従業員を受け入れる新会社を、山陰合銀系列ファンドと米子市内の建設業、リバースの共同出資で昨年12月設立していた。新会社は福田本店の社名で所在地は変わらない。
 借入金を中心とする負債は旧社に残し、大半を山陰合銀が不良債権として損失処理。旧社は今年6月解散した。