帝国データバンク松江

 民間信用調機関、帝国データバンク松江支店が発表した県内の5月の企業倒産は、4件、負債総額2億8100万円で、前月と比べ件数で3件増えたが、負債総額では半減した。
 業歴が30年以上と比較的長く、地域に親しまれた企業が経営に行き詰まる「老舗倒産」が4件中3件を占め、間接的ながらも経営者の死亡や病気が倒産につながる「後継者難型」も目立った。
 業種別では建設業が3件、サービス業1件で、いずれも従業員10人未満の零細企業。原因別では販売不振と経営者の死亡、病気が各2件。
 県内では、経営者の高齢化が進む中で後継者が見つからない事業承継問題が深刻になっている。県や経済団体も後継者確保に向けて取り組んでいるが、事業環境が激しく変わる中で経営の新陳代謝が課題となっている。
 「最近は前触れのように、後継者難による倒産も出てきた。経営者の高齢化を考えると、今後はさらに増えるのでは」と同支店。
 県内の倒産は、コロナ化に入ってからも国や県などの資金繰り支援融資で比較的落ち着いている。しかし返済が猶予される据え置き期間が今後順次終了するため、先行きは予断を許さない。コロナ禍が長期化すれば、資金繰りに行き詰まる事業所が増える恐れもある。