海外販売好調で黒字転換

 総合農業機械メーカー、三菱マヒンドラ農機(本社・松江市東出雲町揖屋、斎藤徹CEO取締役社長)は7日、2022年3月期(21年4月~22年3月)決算を公表した。米国を中心とする海外販売が大幅に伸び、18年3月期から4期続いた赤字決算を脱して黒字に転換した。上場企業ではないため、利益は公表していない。
 売上高は、473億円で21年3月期と比べて16%増加。このうち国内が335億円と2%減少したのに対し、海外部門が2倍以上増えて124億円。北海道のJAふらのから受注したニンジンの形状選別装置を含む施設事業も13億円で56%増えた。
 海外事業では、コロナ禍でコンテナ船の確保が難航するなか北米向けの新規輸送ルートを開拓した結果、同地域向けとしては過去最高の年間9500台を出荷。米国ではコロナ化の巣ごもり需要として家庭向けのガーデントラクターの需要が増えた。
 今年に入ってからの円安も追い風となり、海外売上比率は20年度の14%から26%に高まった。後継者不足や高齢化などで縮小が続く国内農業への依存度を減らし、市場規模の大きい米国や日本と同じくコメを食べる習慣がある韓国などアジアを含めた海外への販路拡大を目指す。
 同社は、国内外の売り上げの伸び悩みや経営効率化の遅れなどで経営不振に陥り、17年度決算で赤字に転落。20年度には希望退職などで140人の人員削減に踏み切った。現在のグループ全体の従業員は1462人、うち島根県内では約800人が働いている。
 斎藤CEOは「短期間で黒字に転換できた。人員削減で落ち込んでいた社員の士気を危機感に変えながら、きめ細かい業務運営を進めていく」と話している。