島根労働局が31日公表した4月の県の有効求人倍率(季節調整値)は、1・68倍で前月を0・03ポイント上回り、今年1月以降4カ月連続して前月比で上昇、ないしは横ばいだった。月間の有効求人倍率としては新型コロナウイルス下直前の2020年1月以来の水準となり、労働市場はコロナ前に戻っている。
 同局は、これを受けて4月の県内の雇用情勢判断を「持ち直しの動きが広がりつつある」として7カ月連続で据え置いた。
 有効求人倍率は、求職者1人当たりに対する事業者などからの求人の数を示し、1倍を上回れば求人数が求職者より多い「売り手市場」を指す。
 4月の県内では、前月と比べて有効求人数が989人、5・4%増えて1万9323人。有効求職者は同365人、3・3%増の1万1506人となり、求人数の伸びが求職者数を上回った。このうち就職件数は1076件で、前年同月と比べ、97件、8・3%減少した。
 求人の業種別内訳は、コロナ感染拡大防止のため、島根、鳥取両県に適用されていた、まん延防止等重点措置が解除されて客足が戻った宿泊・飲食サービスをはじめ、卸・小売業、鉄鋼、電気機械器具などで大幅に増えた。逆に運輸・郵便業、窯業・土石などで減った。
 県内の雇用情勢は、新型コロナの影響が強まった20年9月の有効求人倍率1・32倍を底に持ち直し、昨年初めごろから改善基調をたどっている。都道府県別の求人倍率で福井県に次いで2位の高さとなっているが、介護や建設業などでは人手不足を訴える声も多い。 今後の見通しについて同局は「業種によってばらつきはあるが、全般にコロナ前の水準に戻りつつある。一方で経済回復に伴い人手不足が強まる懸念もある」とみている。