景況感大幅に悪化

 日本政策金融公庫松江支店が公表した今年1~3月期の島根、鳥取両県の小企業(従業員20人未満)動向調査で、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、マイナス57で、前期(2021年10月~12月)に比べ、28ポイント落ち込んだ。業況の悪化を示すマイナスの大きさとしては21年1~3月期以来1年ぶり。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、期間中に両県に適用された、まん延防止等重点措置の影響を受けた。
 業況判断DIは、業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた数値。数値が大きいほど業況が良いことを示し、マイナス値が大きくなれば悪化していることを表す。
 売り上げDIは、マイナス48と前期に比べて22ポイント落ち込んだ。業種別のマイナス幅では飲食店・宿泊業の80を最高に小売業54、製造業33など売り上げを減らした企業が大幅に増えた。
 その結果、黒字企業の割合から赤字企業の割合を差し引いた採算DIもマイナス55と前期比27ポイント低下し、採算が悪化して赤字に転落する企業が増えている。
 資金繰りについても前期より悪化した企業が大幅に増え、特にまん延防止等重点措置の適用に伴い県をまたぐ移動を制限されたり、営業時間を短縮したりした影響を受けた飲食店・宿泊業で資金繰りが苦しくなっている。金融機関からの借り入れも難しくなっている。
 これらの数値を踏まえた総合判断は「コロナの影響で依然として厳しい状況にある」として前期から据え置いた。
 しかし、その一方でまん延防止等重点措置が解除された4月以降は観光地に客足が戻るなど明るい兆しも見える。特に今年のゴールデンウイーク中の山陰両県の観光地の人出は、昨年を大幅に上回り、感染者数は高止まりしていても「コロナ慣れ」とワクチン普及効果が経済活動を促しているようだ。
 今後の見通しについて同支店は「コロナの影響は小規模事業所ほど大きい。しかし今後はコロナよりロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー高など複合的なリスク要因が大きくなるのでは」とみている。
 調査は、今年3月中旬、山陰両県の取引先企業190社を対象に実施、7割に当たる131社から回答を得た。