大手民間調査会社の帝国データバンクによると、2022年度の賃金改善が「ある(見込み)」と回答した中国地方の企業は57・6%。その約8割が「労働力の定着・確保」を理由に挙げ、最多だった。
 調査は、同広島支店が中国地方に本社を置く企業へ2022年度の賃金動向に関する意識調査を実施したもの。調査期間は、同年1月18日~1月31日、調査対象は1590社で、有効回答企業数は736社(回答率46・3%)。賃金改善とは、ベースアップや賞与(一時金)の増加によって賃金が改善(上昇)することで、定期昇給は含まない。
 結果は▽賃金改善が「ある(見込み)」企業の構成比は 57・6%で、前年から 14ポイント上昇▽「ない(見込み)」(17・4%)は2年ぶりに2割を下回った▽賃金改善の内容は「ベースアップ」が48・9%で、3年ぶりに改善。「賞与(一時金)」が27・6%で、2割台を回復▽賃金改善の理由は「労働力の定着・確保」(79・2%)がトップ▽21年度の総人件費の見通しは68・2%が「増加」と回答ーとなっている。
 賃金改善の有無を県別でみると、「ある(見込み)」では、山口が64・8%(81社)で最も高く、岡山の60・2%(106社)と続いた。島根は「ない(見込み)」が19・8%(18社)で最も高く、「分からない」も30・8%(28社)で最も高かった。鳥取県は「ない」が13・1%(8社)で最も低く「分からない」は27・9%(17社)で、島根に続いて高かった。
 賃金改善が「ある(見込み)」と回答した企業(424社)の理由(複数回答、以下同)は、「労働力の定着・確保」が79・2%(336社)で最も高かった。次いで、「自社の業績拡大」が 33・7%(143社)、「物価動向」が 21・2%(90
社)で続いた。一方「ない(見込み)」の理由は、「自社の業績低迷」が58・6%(75社)で最も高く、次いで、「同業他社の賃金動向」が18・0%(23社)、「人的投資の増強」が 13・3%(17 社)で続いた。
 自由記述では、賃金改善が「ある(見込み)」には「役員報酬を引き下げ、従業員給与をアップし、全体的には優秀な人材や労働力の確保と経費削減を実施する」(不動産・鳥取)。「ない(見込み)」には「この状況下において賃上げするなど考えられない(電気配線工事・島根)などが挙げられている。

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