安定性を取った方が良い?不動産投資に於ける「金利」の考え方
固定・変動はどちらを選ぶべき?

不動産ローンを選ぶ際、固定金利を選ぶべきなのか、変動金利を選ぶべきなのか迷ってしまう所ではないでしょうか。
当ページでは両者のメリット・デメリットに加えて、お得になる基準や選ぶ際のポイント等について深く解説を行いたいと思います。
固定金利とは
固定金利とは、文字通り返済期間の間は利率が変動しない金利です。例えば、年利3.0%・返済期間30年で借入をした場合、30年間の間は年利3.0%のまま完済まで変動しません。
そのため、安定した返済計画を立てられるというメリットがあり、破綻リスクを軽減させる効果があります。ただし、“変動金利よりも1.5倍程度高い”というデメリットがあり、長期返済になればなるほど返済額は高くなります。
変動金利とは
変動金利とは、長期金利を基準にて金利を都度計算する方法です。金融機関のほとんどが5年に一度金利を見直す方式を採っておりますので、例えば借入時は年利2.0%だったとしても、その後の見直しで金利が増減する可能性があります。
ただし、一般的には変動金利の方が固定金利よりも利率が低く設定されていますので、急激な上昇さえ起らなければ最終的な返済額は低いケースが多いでしょう。
審査は変動金利の方が厳しい
変動金利は固定金利よりも利率が低く設定されていますが、金融政策の影響等で大きく利率が上がる可能性も十分に考えられます。そのため、変動が起こってもしっかりと返済していけるのかどうかが重点的に審査され、より勤め先の“安定度”が重要になります。
実際はどちらが得?
前述した通り、固定・変動いずれにもメリットとデメリットがありますが、実際にはどちらが得なのでしょうか。
結論から言うと、こちらに関しては「長期金利の変動がどうなるか」によるところが大きいため、はっきりと“どちらの方が良い”とは言いづらいのが現状です。しかしながら、過去の金利推移やデータによりある程度の予測は立てられる事は出来ます。
金利の推移

金利は日本国が発行する「10年国債」の利息を基準に設定しているため、傾向と想定をある程度立てる事が可能です。上記は過去30年の10年国債の利息を年間で平均した数値をグラフにしたもので、最も高騰したバブル期で「6~7%」と高い数値になっています。しかしながら、その後は右肩下がりを続けており、平成24年からの7年間では1%に満たない数値となっています。今後もこの低金利が続けば「変動金利」、今後上がっていくのであれば「固定金利」の方がお得であるという事は言うまでもありませんが、急激に2~3%上昇した事は今までにも無く、これからこれらの急上昇が起こるのは考えづらいです。あるとすれば10~20年掛けて緩やかに上昇する可能性ですが、変動金利の場合ですと5年に一度金利が見直されるため、不動産を売却する等の措置を講じる事も可能です。
返済額はどのくらい変わる?
例えば3,000万円を35年ローンで借りた場合、金利によって返済額が以下の通り異なります。
※元利均等返済で計算
金利 | 毎月の返済額 | 支払総額 |
---|---|---|
1% | 84,685円 | 35,567,804円 |
2% | 99,378円 | 41,738,968円 |
3% | 115,455円 | 48,490,768円 |
1%と3%でなんと1,300万円近くも支払総額が変わり月々の返済も3万円以上増えてしまいます。つまり、1%の変動金利型と3%の固定金利型があった場合、前者の方がよりキャッシュフローを残せるという事になりますので、自己資金が少ない場合には変動を選んだ方が有利と言えるでしょう。また、前述した通り緩やかに金利が上昇しているのであれば「不動産を手放す」「借り換えをする」といったリスクヘッジを採る事も可能ですので、現状ですとやはり変動金利の方がお得である可能性が高いです。
どちらの方が選ばれているのか
平成30年度に行われた住宅金融支援機構の1次調査(4月~9月)によると、住宅ローンを組む際に「変動型」を選択した方は57.0%、固定金利型を選択した人は43%(固定期間選択型25.3%・全期間固定型17.7%)という結果になっています。なお、平成27年の1次調査(3月~6月)では「変動型」が35.8%、「固定型」が64.2%となっていたため、低金利の影響で変動型が人気となっているようです。
※こちらは「住宅ローン」によるデータであるため、あくまで参考になります。
不動産投資なら変動金利がお奨め
一長一短ある両者の金利タイプですが、以下の3つの理由から“変動型”を個人的にはお奨めしております。
②変動金利は返済額の1.25倍までが変動の上限であること
③キャッシュフローを増やす事が重要であること
まず、不動産投資は短期的な保有になる可能性も十分に考えられるため、長期的な固定金利によりローンを組んでしまうと違約金が発生若しくは変更不可といったケースがあります。また、変動金利の上限は現在の返済額の1.25倍までと決められているため、一気に数倍に膨れ上がる心配がありません。更に、不動産投資は何よりもキャッシュフローの確保が重要かつセオリーですので、金利がより安い方を選ぶのは正しい選択であると考えます。金利が大きく上がってしまうのであれば当該不動産を手放すという選択肢も出来るため、「確実に数十年保有する」「金利が上がっても払い続ける予定」といった特別な事情が無い限りは変動による低金利での運用がお奨めです。
【固定・変動のメリット&デメリットまとめ】
メリット | デメリット | |
---|---|---|
固定 | ・毎月の返済額が固定されるため、安定して返済出来る ・審査が通りやすい |
・変動金利よりも利率が高く支払総額が高くなる可能性がある |
変動 | ・固定金利よりも利率が低いためより多くのキャッシュを残せる ・上昇しても返済額の1.25倍以上までは上がらない |
・変動により固定金利よりも高くなってしまう可能性がある ・審査が厳しい |
- 結 論
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金利タイプは一長一短!キャッシュフロー重視なら“変動”、安定重視なら“固定”
長期保有なら固定の方が安心
変動型は審査が厳しいのでハードルは高い