離婚後の家をどうするかは大きな悩みどころ。
例えば夫名義の持ち家があるから、妻の方で子供と一緒にそこに住み続けたい、ということは可能なのでしょうか?
今回はずばり結論から言います。
離婚後も、夫名義の家に妻と子どもで住み続けることは可能です。
Check!
ですが実は、夫名義の家に住み続けるということは、さまざまなリスクがともないます。
できれば今の持ち家に住むという選択肢とともに、売却の道も探っていかれるのがおすすめです。
◆この記事で分かること◆
- 夫名義の家に住み続けるリスクと注意点
- 妻と子が安心して生活していくための選択肢
将来的に考えられるリスクだけでなく、リスクを最小限に抑えるための対策についてもあわせて解説しています。
離婚後の家をどうするかお悩みの方は、是非参考にしてみて下さい。
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離婚後も夫名義の家に住みたいケースとは
離婚後も家は夫名義のままにしておいて、そこに妻や子どもが住み続けたいと希望されるケースは多くあります。
例えば、主に次のような事情が考えられます。
- 夫名義の住宅ローンがまだ残っている
- 子どもの学校やお友達など、環境をなるべく変えずに子どもの精神的負担を軽減したい
まず一番の問題は「住宅ローン」でしょう。
夫名義の住宅ローンがまだ残っていて、今後も払い続けなければならない。
それならローン名義人と所有名義人はそのままにして、養育費の一環として支払いを続けてもらおうというパターンです。
そして2つ目は子どもへの配慮です。
離婚という夫婦の問題によって子どもに与える影響はなるべく最小限に留めたいもの。
学校は今までと同じところに通わせたい。
お友達やご近所とも今まで通り付き合いたい。
そのために、今までと同じ住環境をキープしたいと考えるのは、ごく自然なことです。
このような事情が1つではなく重なり合った時が、まさに「離婚後も夫名義の家に住みたい」ケースに当たると言えるでしょう。
ローン名義人と家の所有名義人について
今回は「名義」という言葉が多数登場しますので、ここで名義の2つの意味について整理しておきます。
(知っている方はスキップして下さい。)
住宅ローン名義人とは?
住宅ローンを金融機関から借り入れた際の当事者で、ローン契約に署名・捺印した本人、ということになります。
夫のみの単独名義で借り入れたつもりでいたものの、よくよく確認したら妻が連帯保証人だった、なんてケースも。
夫婦での収入合算のため、妻が連帯保証人になっているケースもありますので注意が必要です。
家の所有名義人とは?
こちらは家そのものの名義人、つまり家の所有者のことです。
所有名義人は、法務局で取得できる「登記簿謄本」で名前を確認することができます。
住宅ローンが残っていなければ名義変更しよう
先ほどの解説のとおり、「住宅ローン」というのは大きな問題です。
もし住宅ローンが残っていない、あるいは完済できる、といった場合にはシンプルに家の所有名義人を変更されることをおすすめします。
住宅ローンが残っていない場合
住宅ローンが残っていない場合は、離婚にともなう財産分与で家を妻の方に分配すれば、スムーズに妻の方へと名義変更することができます。
財産分与の原則は、夫婦が共同で築いてきた財産については公平に2分の1ずつ分配する、という考え方がベースとなります。
ですがこれは厳密に2分の1と決まっているわけではなく、扶養などの意味合いも加味しながら話し合い(協議)で自由に決めることができます。
ですから、夫婦にとっての財産のうち家の占める割合がたとえ2分の1以上だったとしても、お互いが納得さえすれば妻側が受けとることができるのです。
あるいは、家を妻が受けとる代わりに、夫側には金銭を払い、より公平になるように調整をすることも可能です。
住宅ローンが完済できる場合
住宅ローンがまだ少し残っていたとしても、自己資金で完済できるレベルまで来ているなら、頑張って一旦完済させることも考えてみましょう。
実は住宅ローンが残っている状態だと、家の名義変更は金融機関によって制限されていることがほとんど。
ですが住宅ローンを完済することで、金融機関は関係なくなりますから、スムーズに妻の方へと名義変更ができるようになります。
流れとしては、
- 住宅ローンを一括返済(完済)する
- 財産分与で家は妻側へと分配することを協議し取り決める
- 妻の方へ家の名義変更をする
このような流れとなります。
ちなみに住宅ローンがいくら残っているかは、金融機関が発行する「返済予定表」を見れば、現時点でのローン残高が分かります。
一度、夫婦の手元資金と見比べてみては。
離婚後も夫名義の家に住むことは可能
前置きが長くなりましたが、夫名義の住宅ローンがまだ残っているという方は、名義関係はそのままにして妻と子どもで住み続けたい、ということをお考えになるでしょう。
結論を言いますと、離婚後も夫名義の家に妻と子どもが住み続けることは可能です。
具体的な方法としては、
-
お互いの間で賃貸借契約を結ぶ
⇒夫はローンの支払いを続け、妻は夫に家賃という形で支払いを行う。 -
使用貸借という形で無償で借りる
⇒別のところで養育費の減額などを行う。
このいずれかの形をとることになるでしょう。
ですが、夫名義の家に住み続けることは大きなリスクを抱えることになり、実はあまりおすすめではありません。
どんなリスクに注意すべきなのか、次から詳しく解説していきます。
離婚後も夫名義の家に住む際の注意点
離婚後も夫名義の家に住み続ける際の注意点について解説します。
家が(元)夫の名義ということは簡単にいうと、
「離婚相手が所有する家に住む」
ということですから、今後もさまざまなリスクが想定されます。
ではどのような点に注意すべきなのでしょうか、対策はあるのでしょうか。
◆夫名義の家に住み続ける際の注意点◆
- 第三者に売却されるリスクがある
- 競売により立ち退きを迫られる可能性がある
- 住宅ローンの契約違反となる
- ローン完済後の名義変更が約束通りに実行されない恐れがある
これらを順番に見ていきましょう。
第三者に売却されるリスクがある
1つ目の注意点は、「第三者に売却されるリスクがある」です。
残念ながら、元夫は「家の所有者」ですから、売却する権利も持っています。
そこに元家族が住んでいることを知っていたとしても、相談することなく売却することができてしまうのです。
もちろん、元夫だって最初から企んでいた訳ではないはず。
今回のケースでは元夫の方は家を出て行ったわけですから、自分のための新たな住居費がかかりますし、新生活のための資金も必要でしょう。
その中で、自らの家計のやりくりのために売却をしてしまうことだってあり得るのです。
勝手な売却を防ぐ対策は?
勝手に売却されることを防ぐための対策は、次のとおりです。
不動産権利証を預かっておく
権利証とは現在は「登記識別情報」というものに変わりましたが、どちらも不動産の権利を持つ本人であることを証明する大切な書類です。
これがないと絶対に売却できないという訳ではありませんが、妻が預かっておくことで少なくとも売却のハードルは一段高くなると言うことはできます。
公的文書で残しておく
離婚後も売却されないようにするには「勝手に売却しない」旨の約束をしておくことが大切。
ですが、単なる約束では月日の経過とともに「言った・言わない」論争に発展しがち。
そこで、家に関する扱いについてはきちんと公的文書で残しておくようにしましょう。
できれば弁護士などの専門家に相談しながら書面化した方が安全ですね。
競売により立ち退きを迫られる可能性がある
2つ目の注意点は、「競売により立ち退きを迫られる可能性がある」です。
住宅ローン中の家は、金融機関が必要に応じて競売にかけられるようになっています。
それは、家に抵当権が設定されているためです。
競売にかけられるのはどんな時かというと、住宅ローンの返済が滞っていて、度重なる督促にも応じず滞納を続けてしまった時です。
長年の間には、元夫の方でも何らかの事情で収入が一変、住宅ローンが払えなくなる可能性は充分に考えられることです。
例えば病気になったり事故にあったり、昨今では大きな変化も起こりました。
家を競売にかけられてしまうと、最終的には新しい所有者のものとなり、家から強制退去させられてしまうのです。
競売による立ち退きを防ぐ対策は?
元夫が住宅ローンを滞納してしまった場合、最終的に競売となるのを阻止するのは難しいと言わざるを得ません。
最悪の事態を少しでも回避するための対策をご紹介します。
離婚協議書を公正証書にしておく
協議(話し合い)により離婚される場合「離婚協議書」に合意内容をまとめていくわけですが、これを「公正証書」にもしておくと良いです。
公正証書にしておくことで、住宅ローンの滞納が起きた際には、すみやかに相手の財産(給与や預貯金)の差押えといった強制執行ができるようになります。
このように、公正証書化することで離婚協議書にはない「強制執行」という強い権限を持つことができるようになるのです。
妻が家賃の支払いを続ける
家の賃貸借契約をお互いの間で結び、妻が夫側へ家賃を支払うという形にすることも検討の余地があります。
夫からしてみれば、毎月いくらかでも家賃収入を得ることができれば負担は軽減されるはず。
「自分だけがローン返済しているわけではない」という心理的効果も働いて、モチベーションをキープできるかもしれません。
任意売却に切り替える
競売の一歩手前まで来てしまったら、夫側と連絡をとって「任意売却」への切り替えも検討すべきです。
任意売却とは?
住宅ローンを滞納している人を救済するため、金融機関の了承のもと、一般市場にて家を売却できる制度。
もちろん、任意売却も「売却」である以上、家から出ていくという点では変わりありません。
ですが任意売却の方が競売に比べるとメリットが大きいです。
任意売却のメリット
- 相場に沿った高い価格で売却できる
- 残債は分割払いが可能
- 通常の売却スタイルとなるため、周囲に事情を知られにくい
- 退去日の融通が効きやすい
Check!
特に気を付けたいのが、妻が「連帯保証人」になっている場合です。
連帯保証人だと単なる立ち退き問題ではなく、ローン返済の問題も抱えることに。
連帯保証人は、どこまでも返済義務を免れることはできません。
ですから少しでも好条件で売却し残債を減らしていくためにも、ぜひ任意売却への切り替えを考えてみて下さい。
こちらの記事では「住宅ローン中の家の売却」をテーマに任意売却についても解説しています。
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住宅ローン中の家を売却したい 状況別の売り方や手順を解説
住宅ローンの契約違反となる
夫名義の家に住み続ける注意点の3つ目は、「住宅ローンの契約違反となる」です。
そもそも住宅ローンとは、そこにマイホームとして住み続けることを前提として、比較的低金利で貸し出してくれるという商品です。
ローン名義人が家を出て、金融機関の承諾なしに家の貸し借り(使用貸借も含む)を行うことは原則禁止されているのです。
つまり、たとえ離婚という事情があるにせよ、ローン名義人である元夫が家を出て行ってしまうと、厳密には契約違反ということになります。
契約違反になると、場合によっては住宅ローンの一括返済を求められることもあるため注意しなければいけません。
契約違反と言われないための対策は?
住宅ローンの返済が滞りなく行われていれば、ローン名義人が退去した事実が金融機関に伝わる可能性は低いかもしれません。
ですが一たび滞納などが発生してしまった時には、逆にトラブルが大きくなってしまうことも…!
そのため最善策としては、やはり離婚の際に金融機関に相談されるべきです。
離婚の事情を話し、今後も住宅ローンの返済が可能であることを理解してもらえれば、承諾してもらえる可能性が高くなります。
ローン完済後の名義変更が約束通りに実行されない恐れがある
4つ目の注意点は、「ローン完済後の名義変更が約束通りに実行されない恐れがある」です。
離婚協議において、
- 夫が住宅ローンを引き続き返済し、
- ローン完済後は、財産分与として妻に名義変更する
このように取り決めるケースは多くみられます。
ですが、離婚後何年も経ってから、元夫が約束どおりすんなりと名義変更に応じてくれるかどうかは心配なところ。
ローンの完済に至るまで、元夫としては「自分の生活費」そして「住宅ローンの返済」という二足のわらじで金銭的な負担は大きいはずです。
ローンを完済し自分名義の不動産が手に入るとなれば、生活状況によっては「名義を譲りたくない」と気が変わってしまうかもしれません。
確実に名義変更するための対策は?
ローンの返済が完了した後で、確実に名義変更をしてもらうための対策は次のとおりです。
離婚協議書を公正証書にしておく
先ほどの「競売による立ち退き対策」と同じで、やはり公正証書を作成しておくことが大切です。
離婚協議書と同じ内容を、公正証書にしておくということですね。
繰り返しになりますが、公正証書があると強制執行ができるようになります。
万一、元夫が名義変更に応じないといった事態になったとしても、強制的に名義変更が可能となるため安心です。
条件付所有権移転の仮登記をする
「条件付所有権移転の仮登記」をしておくという方法もあります。
ここでの「条件」というのは、住宅ローンを完済するということ。
つまり「住宅ローン完済」という条件付きで仮登記だけ済ませておく、ということです。
実際にローン返済が完了した時には、仮登記にもとづいて本登記をすればOK。
確実に所有権移転を実行し、所有名義人になることができるでしょう。
【結論】離婚後も夫名義の家に住むのは不安が残る
このように、元夫が家の所有名義人のまま住宅ローンも払い続けているという状況は、長い目で見るとさまざまなリスクがあります。
リスクのベースにあるのは、夫側の次のような心の声です。
「離婚にはこちらにも非があるから、ローンは今まで通り払う約束をしなければ」
↓ ↓(数年経過)↓ ↓
「どうせ自分の家にならないのに、延々と支払いを続けるのはバカらしい」
「もう充分に支払いは果たしたのではないか」
「こっちだって生活に余裕があるわけじゃないのに、どうして自分ばっかり?」
「少しくらい支払いが遅れたって、こっちは困らないし」
考えてみれば、一たび離婚をしてしまえばもはや他人同士。
子どものことが心配、ということもあるはずですが、やはり上記のように少しずつ気持ちが変わっていくことも充分に考えられるわけです。
改めて、リスクを最小限にするための対策をこちらにまとめておきます。
- 不動産権利証(あるいは登記識別情報)を預かっておく
- 離婚協議の内容は公正証書化しておく
- 金融機関にはきちんと事情を話す
- 仮登記という方法もある
最悪の事態ばかり考えても仕方ないかもしれませんが、実は上記のような対策を講じたとしてもトラブルをゼロにするのは難しいのが実情です。
公正証書も万全ではない
「公正証書」は約束事を確実に遂行するための強い力を持っていることが分かりました。
ですが、残念ですが公正証書も対策として万全とは言い切れません。
どういうことかというと、たとえ強制執行ができたとしても、そもそも元夫に財産や給与がなければ差押えができません。
何らかの事情で職を失ってしまったなどで、差押えるべき財産がなければ、もうどうにもならないということです。
連帯保証人になっていませんか?
本記事では夫のみの単独名義の家を前提として解説していますが、実は妻が住宅ローンの連帯保証人になっていた、というケースはよくあります。
連帯保証人は、ローンの支払いが滞った時に支払いを保証する立場の人です。
もし元妻が連帯保証人になっていると、元夫がローンの返済をしない時に代わりに返済を強いられることになるため責任は重大!
それならば連帯保証人を外れたい、そう思われるかもしれません。
しかし、連帯保証人を外すことはほぼ不可能に近いと考えておいた方が賢明です。
なぜなら、住宅ローンを組む際に「必要とされて」連帯保証人がつけられたのだから、それを途中で外すというのは金融機関にとってリスクでしかなく、認めてもらえないのです。
連帯保証人になっている場合は、より慎重に今後のことを考えていく必要があります。
◆ ◆ ◆
このように、離婚後も夫名義の家に住み続けるのはどうしても不安が残ります。
では、これから離婚してより安心に暮らしていくためにはどうしたらいいのでしょうか。
次からは、夫名義の家に住む以外の選択肢についてご紹介していきます。
他に安心して生活するための選択肢は?
ここからは、夫名義の家に住み続ける以外に、安心して妻と子どもが生活していくための選択肢を3つ挙げてみました。
- 売却してローンを一括返済
- 妻名義のローンへ借り換える
- 任意売却する
どの方法が一番良いかというのは個々の事情により異なりますので、どんな人におすすめかも合わせてお伝えしていきます!
売却してローンを一括返済
1つ目は「売却してローンを一括返済」です。
家に住み続けるのではなく、売却するという提案となります。
どんな方におすすめ?
-
【家の売却査定額>ローン残債】となる方
⇒アンダーローンといいます。
アンダーローンとは、家を売って得られる額よりも住宅ローンの方が少ない状態のこと。
家を売ることで住宅ローンを完済できるというのが大きなポイントで、比較的スムーズに売却を果たすことができます。
アンダーローンの家を売却した場合、財産分与の計算は次のようになります。
アンダーローンの財産分与
売却で得られたお金から、住宅ローンや諸経費を差し引き、手元に残った金額を2人で分配。
<例>
- 土地建物:5000万円で売却
- 住宅ローン残債:3000万円
- 売却諸経費:200万円
5000万円-(3000万円+200万円)
=1800万円
手元に残った1800万円を財産分与として、2人で協議の上分配することになります。
今の家を売ってしまうのは、確かに心細さもあるかもしれません。
引越しもしなければなりません。
ですが、意図せず突然立ち退きを求められるなどのリスクからは解放され、結果的には安心して新生活を始めることができるはず。
家を売って財産分与したお金は、新生活への立て直しに役立てることができるでしょう。
家の売却査定額はどうしたら分かるの?
家の売却査定額を手っ取り早く知るには、不動産一括査定サイトが便利。
サービスによっては訪問も不要で、「簡易査定」という方法で「今売ったらいくらか」という大体の価格を教えてもらえます。
簡易査定なら面倒なアポ取りも不要でweb完結できるため、忙しい方の強い味方です。
こちらの記事で、おすすめの不動産一括査定サイトを何点か挙げておきます。
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妻名義のローンへ借り換える
2つ目は「妻名義のローンへ借り換える」です。
夫名義の住宅ローンに代わって、妻が新たな住宅ローンを借り入れるイメージですね。
この方法なら、持ち家を売却しないで済むのが大きな魅力です。
どんな方におすすめ?
- 妻に安定した収入がある(正規社員など)
- 家はアンダーローンではあるが、売却せずに何とか家に残りたい方
-
【家の売却査定額<ローン残債】となる方
⇒オーバーローンといいます。
オーバーローンとは、家を売って得られる額よりも住宅ローンの方が多い状態のこと。
購入した家の価値が早めに目減りしてしまった場合など、オーバーローン状態になるのは珍しいことではありません。
オーバーローンでは、家を売ったとしても住宅ローンを完済することができず、家の売却そのものが難しくなります。
住宅ローンを完済できなければ、家の「抵当権」を外すことができないためです。
そこで提案したいのが、この「妻名義の住宅ローンへの借り換え」です。
住宅ローン借り換えの流れ
- 妻が新たに住宅ローン審査を受ける
- 審査に通れば新規ローン契約
- 夫名義の住宅ローンは一括返済!
ローンの借り換えができれば、家の所有名義人も問題なく妻の方に変更することができます。
これで夫とのトラブルに悩まされる心配はなくなり、安心感はグッと高まるでしょう。
しかし、最大のネックは妻が住宅ローンの審査に通らなければならないこと&月々のローン返済が待ち受けていること。
特に子どもが小さいうちは手がかかりますから、仕事はパート程度に抑えている方も多いのではないでしょうか。
審査の厳しさはローン残債の額にもよりますが、やはり正規社員などで安定収入が見込めない場合には審査に通ることは難しいでしょう。
とはいえ、もしも妻の方に充分な収入があるなら、大変おすすめの選択肢にはなります。
任意売却する
3つ目は「任意売却する」です。
前述の「競売による立ち退き対策」のところでも出てきましたが、任意売却という方法もあります。
どんな方におすすめ?
- オーバーローンとなっている方
- 離婚後のローン支払いはお互いに困難というケース
任意売却なら、オーバーローンになっていて通常の売却が難しいケースでも、特別な形で売却することが可能です。
任意売却とは?
住宅ローンを滞納している人を救済するため、金融機関の了承のもと、一般市場にて家を売却できる制度。
任意売却では不動産を一旦売却した上で、残ったローンを計画的に返済していくことになります。
任意売却では家を手放すことになるため、新生活が心配になるお気持ちも分かります。
ですが、財産分与ではもちろん金銭としての養育費を主張することもできますし、母子手当などの公的制度も大きな助けとなるはずです。
あるいは、妻側である程度の安定収入が見込めるようになるまでは夫名義の家にとどまることを考えても良いのかもしれません。
大切なのは、夫名義の家に住み続けることにはリスクがあることを「知っておく」ことです。
その上で、リスクを取って持ち家に住むか、あるいは売却するか、お互いの状況から最善の策を考えていきたいものです。
なお、任意売却をするには必ず金融機関の同意が必要となります。
また特別な手順がありますので、まずは任意売却に詳しい不動産会社に相談されることをおすすめします。
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まとめ
今回は、離婚後に「夫名義の家に妻と子どもが住む」ことを想定し、注意点や別の選択肢について解説してきました。
ここで改めて内容を総括しておきます。
- 離婚後も夫名義の家に住むことは可能
- そもそも住宅ローンが残っていないなら名義変更しよう
- 自己資金で完済できる場合も名義変更できる
◆夫名義の家に住み続ける際の注意点◆
- 第三者に売却されるリスクがある
- 競売により立ち退きを迫られる可能性がある
- 住宅ローンの契約違反となる
- ローン完済後の名義変更が約束通りに実行されない恐れがある
◆リスクを最小限にするための対策◆
- 不動産権利証(あるいは登記識別情報)を預かっておく
- 離婚協議の内容は公正証書化しておく
- 金融機関にはきちんと事情を話す
- 仮登記という方法もある
◆他に安心して生活していくための選択肢◆
- 売却してローンを一括返済
- 妻名義のローンへ借り換える
- 任意売却する
持ち家を残すか、あるいは売却するか。
あなたにとってベストな判断をするためにも「持ち家を売ったらいくらか」を把握しておくことは大切です。
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複数社にまとめて依頼できるため比較しやすく「適正価格を知ることができた」という口コミも多数。
離婚の手続きや、日常の忙しさの中で「何となく」決めた不動産会社で売却してしまうと、大損する可能性もあることは事実です。
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<参考資料>
- リーガライフラボ「離婚時にオーバーローンの住宅はどうなる?財産分与とそのポイント」
- 南東京任意売却相談室「ローン名義人と所有名義人」
- ベリーベスト法律事務所「離婚後も住んでいる元夫名義の家が競売に!名義変更はできる?」
- 岡山任意売却.com「離婚するのですが、住宅ローンを組んだ銀行へ知らせなくても大丈夫ですか?」
- 行政書士 辻 法務事務所「離婚公正証書を作るメリットについて」
- 横浜綜合法律事務所「アンダーローンの場合は?」