石破氏は論戦に意欲

 9月の自民党総裁選に向け、事実上の一騎打ちとなる安倍晋三首相(党総裁)と石破茂元幹事長の作戦の違いが際立っている。首相は出馬表明の時期を慎重に探りつつ、圧勝を目指して地道な票固めに懸命。短期決戦に持ち込みたい思惑がにじむ。いち早く出馬表明した石破氏は夏休み返上で記者会見などを開き、メディアへの露出増を狙う。
 首相は16日、静養先の山梨県で小泉純一郎元首相、麻生太郎副総理兼財務相らと約2カ月ぶりのゴルフに興じた。小泉氏は4月、森友・加計学園問題で野党の追及を受けていた首相の3選を「難しい」と評していたが、首相はプレー後、記者団に「気持ち良くやりましたよ」とリラックスした様子で語った。
 首相は山梨県鳴沢村の別荘で、側近らと出馬時期や公約をめぐり準備を進めているとみられる。16日は自民党山梨県議と中国料理店で会食。同県は2012年総裁選の地方票で石破氏に大差をつけられた。休暇中も地方票対策に余念がないのは、国会議員票(405票)と同数の地方票でも石破氏を圧倒しないと、圧勝シナリオに狂いが生じるからだ。
 総裁選は9月7日告示、20日投開票となる方向で、首相の出馬表明は8月下旬となる見通し。選挙戦直前の表明になることについて、関係者は「総裁選モードにさせないためだ」と指摘する。政権批判を強める石破氏との対比を避ける狙いがあるとみられる。
 首相は選挙期間中の9月11~13日にロシア極東ウラジオストクで開催される東方経済フォーラムに出席する予定。党関係者は討論会や街頭演説会の機会は通常より減るとの見通しを示した。
 一方、石破氏は16日、お盆休みにもかかわらず派閥会合を開き、竹下派会長の竹下亘党総務会長の支持を取り付けたと紹介。「目先のことではなく、日本や党がどうあるべきかとの思いを共有される方々と全身全霊で戦いたい」と決意を示した。
 議員票で劣勢の石破氏は会合で、政策テーマごとの候補者討論会の開催を改めて要求した。首相が改憲を総裁選の争点に据えようとしていることを念頭に、17日に憲法問題に絞った記者会見を開く。ただ、出馬表明を遅らせて直接論戦を避ける首相陣営にはいら立ちを募らせそうだ。