財務省の発言力低下

 各省庁が予算要求する際のルールとなる概算要求基準を政府が10日閣議了解し、2019年度当初予算編成の作業が始まった。19年度予算は、同年10月に予定する消費税増税に備えた景気対策などで歳出が大きく膨らむのは確実。財政再建を目指す財務省の発言力は相次ぐ不祥事で低下し、当初予算ベースで初めて100兆円を突破する事態が現実味を増している。
 「20年以上にわたるデフレマインドの払拭(ふっしょく)には至っていない」。安倍晋三首相は6日、自民党若手議員でつくる「日本の未来を考える勉強会」(代表・安藤裕衆院議員)のメンバーと首相官邸で会い、日本経済の成長維持には財政による一定の景気刺激が必要だと指摘した。首相は地元の山口県を念頭に「山陰は最大のミッシングリンク(高速道路未整備区間)だ」と話し、インフラ整備に関心を示したという。
 勉強会はこの日、10兆円規模の景気対策などを含む予算編成の提言を首相に提出。策定には藤井聡内閣官房参与ら首相周辺も参加しており、「官邸が財政再建重視派をけん制している」(自民党政調幹部)との見方が広がっている。
 19年度予算の要求基準は、経済成長や人材育成につながる事業を対象とする「優先課題推進枠」を18年度よりも約1割多い最大4兆4000億円程度に拡大。社会保障関係費は高齢化を受けて18年度より6000億円多い要求を認めるが、最終的に増加幅をいくら縮減するかの「目安」は示さなかった。要求基準は例年以上に緩さが目立ち、与党幹部からは「必要な社会保障予算は確保する」と強気の声が上がる。
 一方、財務省は公文書改ざんや前事務次官のセクハラ問題で受けた傷がなお癒えない。要求基準とは別枠の消費税増税対策は兆円単位に膨らむとみられ、同省主計局の幹部は「秋以降の査定は大変だ」とこぼす。19年度予算額が前年度(97兆7100億円)を大きく上回るだけでなく、政府は20年度予算に東京五輪終了後をにらんだ景気対策を盛り込む方針のため、2年連続の「100兆円予算」も想定される。