核武力「完成」と宣言/日本海のEEZに着水

 【ソウル時事】北朝鮮国営の朝鮮中央テレビは29日正午(日本時間同日午後0時半)、重大報道を通じ、「新たに開発した大陸間弾道ミサイル(ICBM)『火星15』の試験発射に成功した」と発表した。同テレビは新型のICBMが「米本土全域を攻撃できる」と主張し、「われわれが目標としたミサイル兵器体系開発の完結段階に到達した」と強調。現地指導した金正恩朝鮮労働党委員長は「本日、国家核武力完成の歴史的大業、ミサイル強国の偉業が実現した」と宣言した。
 韓国軍合同参謀本部などによると、北朝鮮は同日午前3時17分(日本時間同)ごろ、中部の平城付近から東方に向け弾道ミサイル1発を発射。ミサイルの高度は約4500キロに達し、約960キロ飛行して青森県西方約250キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したと推定され、日米防衛当局はICBMだとみている。
 ミサイルの飛行時間は約50分。小野寺五典防衛相は、通常より高い高度に打ち上げるロフテッド軌道だった可能性が高いとの見方を示した。自衛隊による迎撃措置は取らなかった。マティス米国防長官は高度に関し、これまでで最も高いと指摘した。
 米専門家によれば、通常の角度で発射した場合、射程は米本土全域を含む約1万3000キロに達する可能性がある。北朝鮮が2カ月以上自制していた挑発行為を再開させたことで、国際社会が北朝鮮の核・ミサイル開発放棄に向けた圧力をさらに強めるのは必至で、緊張が高まるのは避けられない。
 安倍晋三首相は「暴挙を断じて容認できない」と非難。北朝鮮への「圧力を最大限に高めていく」と述べた。国連安全保障理事会は日米韓3カ国の要請を受け、米東部時間29日午後4時半(日本時間30日午前6時半)に緊急会合を開く。
 トランプ米大統領は「事態を極めて深刻に受け止めている」と強調。一方で北朝鮮への対応について「何も変わらない」と述べ、軍事力を背景に、外交と経済制裁で最大限の圧力をかける方針は維持する考えを示した。安倍、トランプ両氏は日本時間29日朝、電話会談を行った。
 北朝鮮のミサイル発射は9月15日、中距離弾道ミサイル「火星12」が平壌から発射され、日本上空を越えて太平洋に落下して以来。韓国軍は北朝鮮に対抗し、日本海上に向け、ミサイル発射訓練を実施した。
 トランプ大統領は11月8日、韓国国会で演説し、北朝鮮を「地獄だ」などと厳しく批判。20日にはテロ支援国家に再指定すると発表した。これに対し、北朝鮮は「宣戦布告」「重大な挑発」と強く反発し、「高い代価を払うことになる」と警告しており、弾道ミサイルの試射再開で、制裁・圧力に対抗する姿勢を鮮明にした。
 北朝鮮は、米領グアム島沖への火星12発射計画を公表、発射準備が完了したとされるが、米側の強硬な対応を招きかねないグアム沖への発射は避けている。