政府は、今年から留学生として受け入れるシリア難民が留学期間終了後も日本に滞在し続けられるよう、国際協力機構(JICA)を通じた支援に乗り出す。内戦の長期化で祖国へ帰国する見通しが立たない中、日本の在留資格の取得や就職を助け、自立を促す狙いだ。人道上の配慮から、留学中に家族を日本に呼び寄せることも認める。
 2011年から続く内戦で国外に逃れたシリア難民を支援するため、安倍晋三首相は昨年5月に、5年間で最大150人を留学生として受け入れると表明。これを受け、JICAは国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と連携し、シリアの隣国レバノンとヨルダンで今年9月からの初年度分として留学生20人を募集した。慶大、東京外語大、広島大、東京農大など11大学14研究科が受け入れる予定だ。
 留学生は、修士課程2年間を基本とする留学期間を終えた後、日本の在留資格を取得しない限り、原則として出国しなければならない。このためJICAは、卒業後も継続的に在留資格を得られるよう支援するとともに、日本での就職を後押しする。具体的には、就業体験(インターンシップ)の機会を設けたり、難民受け入れに理解を示す企業を探したりして就職先を確保。留学生に対する職業訓練や、本人や家族に対する日本語研修も実施する。
 また、留学生には家族の呼び寄せを認め、生活も支援。本人への月14万円に加え、配偶者に月1万3000円、子ども1人に対し月6500円を支給する。日本での生活になじんでもらうため、留学生に対するカウンセリングも行う計画だ。
 深刻な人道危機にさらされるシリア難民の受け入れが年間数人程度にとどまる日本に対しては、国際社会から閉鎖的との批判がある。JICAは今回の支援策について「かなり手厚い内容」(担当者)としており、日本としてできる限りの役割を果たしたい考えだ。