「ひとみ」失敗で報告書・JAXA  

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は24日、運用を断念したX線天文衛星「ひとみ」について、「設計段階から安全性に対する要求が少なく、バランスを欠いていた。衛星の運用初期段階のリスクを過小評価していた」とする調査報告書をまとめた。同日、文部科学省で開かれた専門家の調査委員会に提出した。
 機体分解の直接要因となった、エンジン噴射制御プログラムの誤データ送信については、委託先業者で入力ミスがあったとした上で、JAXAが入力データの検証手順を整備しておらず、見逃しにつながったことを明らかにした。
 委員からは「人的ミスは起きるもの。破滅的なことにならない発想はなかったのか」「運用、試験のための仕組みが必要。予算やスタッフも含めて、十分だったのか」などの指摘が出た。
 ひとみは2月17日の打ち上げ後、機能確認や試験観測を行っていたが、3月26日未明に姿勢変更を行った後、姿勢制御系が誤動作し、予期しない回転を始めた。
 姿勢の乱れが許容範囲を超えたため、ひとみは自動的に化学エンジンを噴射して立て直しを図ったが、打ち上げ後に書き換えた噴射制御プログラムのデータにミスがあり、機体が高速に回転。想定を超える遠心力で太陽電池パドルなど機体の一部が分離し、運用ができなくなった。
 JAXAは報告書で、軌道投入後に制御プログラムを更新する際、委託先の担当者が誤ったデータを入力したと説明。入力したデータの検証手順が定められておらず、衛星に送信する前に地上で行うシミュレーションによる検証も行われていなかったとした。JAXA側も検証が行われたかどうかをチェックせず、ミスが見逃された。
 また、最初に起きた姿勢の乱れに関しても、打ち上げ後に衛星の姿勢検出装置の誤作動が複数回確認されていたことが判明。調整中にもかかわらず、地上局から直接通信できない時間帯に姿勢変更を行っていた。