安倍晋三首相は、26、27両日開かれる主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)と27日のオバマ米大統領の被爆地・広島訪問の機会を利用し、日本が核軍縮を主導する姿勢をアピールしたい考えだ。核兵器を使用した国と唯一の被爆国の協力を印象付け、停滞する核軍縮の活性化につなげる狙いもある。
 「核兵器のない世界の実現のため大統領と全力を尽くしたい」。首相は大統領の広島訪問を発表した10日、記者団に核軍縮への意欲を語った。
 首相は大統領との広島訪問時に、記者団の質問に答える形で、日米が核廃絶に取り組むメッセージの発信を検討。サミットで採択する首脳宣言にも、核保有国と非保有国が協力し、核軍縮への実践的な行動を呼び掛ける文言を盛り込む方向で調整している。
 先進7カ国(G7)が4月の外相会合で採択した「広島宣言」は、広島、長崎への原爆投下で「甚大な壊滅と非人間的な苦難を経験した」と被害の大きさに言及した。これに続く大統領の訪問で、「しぼみつつあった核軍縮の機運を取り戻すきっかけになる」(岸田文雄外相)との期待が膨らむ。首相には、サミットと広島訪問が成功裏に終われば、外交成果となり参院選にプラス材料になるとの思惑もある。
 ◇「核の傘」に矛盾も
 ただ、核保有国と非保有国の対立は深刻化しており、具体的な進展に結び付けるのは容易ではない。昨年5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議は最終文書を採択できずに決裂。核軍縮が一向に進まない現状に不満を募らせる非核保有国は、核兵器の「非人道性」を根拠に、核兵器禁止条約の制定を求めている。
 北朝鮮が核開発を続け、中国が核戦力を増強する中、日本が米国の「核の傘」に依存していることも事実。日本が核兵器禁止条約に反対し、先の広島宣言で「非人道性」の表現を見送ったのも、米国への配慮からだ。こうした矛盾を抱え、核廃絶へ向けて「説得力あるメッセージを打ち出すのは難しい」(政府関係者)という指摘も出ている。