離脱派は「移民」で反撃

 【ロンドン時事】英国の欧州連合(EU)残留か離脱かを問う国民投票まで23日で1カ月。離脱による経済の致命的悪化を強調する戦略が奏功してか、世論調査では残留派優勢に傾いているが、なお接戦が続いている。
 英国のEU離脱「ブレグジット(Brexit)」は、英国や欧州にとどまらず、世界経済に深刻な打撃を与えるリスク要因として意識されており、21日まで仙台で開かれた先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議でも強い懸念が表明された。
 残留派は論戦で、いかに離脱が経済に悪影響を及ぼすかを強調。最近も「成長は大幅に鈍化しインフレが著しく上昇」(カーニー・イングランド銀行総裁)、「(離脱による影響は)かなり悪いか極度に悪いかの範囲」(ラガルド国際通貨基金専務理事)など「終末論的予測」(英メディア)が内外で相次ぎ、残留派には追い風だ。
 離脱派は、これを不安をいたずらにあおる「恐怖プロジェクト」と批判するが、経済面では有効な反論ができず、移民問題など庶民の共感を得やすい論点に集中して反撃。ゴーブ司法相は20日、EUに残れば移民増加により、英国が誇る無料医療制度「国民保健サービス(NHS)」は2030年までに「維持不能となる」と警告した。
 現状で優位に立つ残留派だが、(1)離脱派に比べ投票意欲が低い(2)メディアでの論戦など「空中戦」で優勢でも戸別訪問など「地上戦」では劣勢―といった不安材料が指摘される。
 このため、最終的に当日の投票率が勝敗を分けるカギになるとの見方が強まっている。調査会社YouGovのピーター・ケルナー前社長は「投票率が50%以下なら離脱の可能性が高い」とみる。
 各種世論調査結果を集計するウェブサイトによれば、17日の時点で直近6回の世論調査の平均は残留支持が55%、離脱支持が45%と差がつき始めている。ただ、各調査の結果にはかなりばらつきがあり、同サイトを主宰するストラスクライド大のジョン・カーティス教授は「最近の一連の調査で残留支持への態度変更が起きている明確な証拠はない」と慎重だ。