全国初、14施設でも協定など

 <写真:熊本刑務所に避難する被災者を激励に訪れ、子どもにあんパンを手渡す杉良太郎さん(左から2人目)=4月30日、熊本市中央区> 熊本地震では、熊本刑務所が近隣住民の避難場所として施設の一部を開放した。法務省によると、2011年の東日本大震災で、宮城刑務所の会議室を職員の家族向けに活用した例はあるが、一般住民に開放されるのは全国初。他の刑務所や拘置所の14施設でも、災害時の住民受け入れなど相互協力に関する協定が結ばれるなどしており、同省は「地域住民への貢献」として、積極的に協定締結などを推進していく方針。
 同省によると、東日本大震災以降、12施設が地元自治体と協定を締結し、2施設が避難所に指定されている(4月現在)。刑務所には自家発電装置が配備され、地下水をくみ上げて利用している施設もある。受刑者や職員の食料なども1週間分備蓄されているという。
 熊本刑務所によると、4月14日夜の地震直後、着の身着のままの住民らが避難場所を求めて次々に来所した。そのため、「塀の外」の敷地内にある職員用の武道場などに受け入れ、約70人が一夜を明かした。翌日には帰宅したが、16日未明の本震後に再び住民が詰め掛け、最大で約250人を受け入れたという。
 避難者には非常食を提供。くみ上げた地下水を飲用のほか、洗濯などの生活用水として近隣住民にも給水したという。同刑務所も市との協定締結を目前に控えており、担当者は「日頃から住民の協力を受けている施設。来たら当然受け入れる」と話す。
 近くに住む野口宗親さん(71)は地震直後、屋外で寝泊まりしたが、16日の地震後に職員から「開放しているのでよかったらどうぞ」と呼び掛けられた。「道場に併設されたお風呂にも入れるので助かる」と笑顔で話した。別の避難所から移ってきたという井上浩子さん(71)も「体調はどうですかと昼も夜も声を掛けてくれる」と職員の対応に感謝の言葉を繰り返した。
 30日には法務省の「特別矯正監」を務める俳優の杉良太郎さんが訪れ、避難者を激励。「刑務所がそういうことをするのかと思われるかもしれないが、何かあったときに施設を使ってもらえれば」と刑務所への理解が進むことを期待した。

<写真:熊本刑務所に避難する被災者を激励に訪れ、子どもにあんパンを手渡す杉良太郎さん(左から2人目)=4月30日、熊本市中央区>